「一応、ちょっとしたブランドから出てるんで、普通にネックレスとしても使えますよ♪」
「……へぇ……」
店員さんの言葉に頷き、
胸元でキラキラと輝く銀と白が溶け合う光を見つめた。
「ちょっとこのノートは持ち運びには重いですけどね、とっても頑丈ですし、その鍵じゃないと開きませんから。」
“この鍵じゃなきゃ開かない”、か……。
「…………」
“今日の思った事とか…
感じた事とか……
そうやな、自分の信念とか。
そういう心の言葉を、
彩に綴って欲しいな。”
“…じゃあ…
あたしが書いた言葉を、朝岡さんがステージで歌ってくれるの?”
“そういうこと♪
約束、な。”
“うんっ!!!!約束♪”
……何故だろうか。
あの日の約束が、今も忘れられずにここに残っている。
近いはずだったのに、何故か遠くなってしまった。
届くはずだったのに、届かなくなってしまった。
「───…お客さん?」
───…もう一生叶わないのなら
ここに、気持ちを吐き出してもいいだろうか。
そんな場所を一つ、作ってもいいだろうか。
与えてもいいだろうか。
「───…これください…」
誰にも言えないのなら、
自分で居場所を作るよ。
たとえ一冊のノートの中だけでもいい。
そこに全て吐き出せるのなら。
そこで自由になれるなら
……そこでしか自由になれないから。
そこに鍵を掛けて、もうあたし以外の誰も見れないように。
触れられないように、
覗かれないように
二度と入って来られないように。
だってもうそこにしか
“居場所”はないから



