────…泣いて、泣いて泣き喚いた。
“どうしてなの”って何回も何回も嘆いた。
「───………」
どれくらい時間がまた経ったのか……。
いっぱい泣いた後、やけに頭がクリアになって盗まれた大金の事を思い出した。
「───…どーしよ……」
あれがないと、後期の授業が受けれない。
「………」
ごめんね……。
お父さんとお母さんが一生懸命働いて稼いだお金、全部ムダになっちゃったよ……。
簡単に失くなっちゃった……。
“彩?
何百万っていう学費出すのは、お父さんとお母さんなのよ。
そのお金をドブに捨てるようなことしないわね?
“やめたい”なんて泣き言、言わないわね?
どんなことがあっても、
途中で投げ出したりしないって、ちゃんとお母さんと約束出来る?"
「…………」
ごめん……
ごめんね、お母さん。
“じゃあお母さん、
彩が歯科衛生士になって帰ってくるの楽しみにしてるからね。”
「────…ごめ……っ」
もう……
もう無理かもしれない。
あたしもう大学卒業出来ないかもしれない。
歯科衛生士なんかなりたくない。
────資格取りたくない。
もう何もかも投げ出したいよ……
「───…お母……さんっ………」
帰りたい
「───…もう……っ
帰りたい───…っ」
でも
自分で決めた道でしょ?
だってこんな事になるなんて思わなかった
だけどもう引き返せないとこまで来てるよ
分かってるよ
───じゃあ前に進むしかないじゃない
「………そっか……」
────フラッ……
頑張るしかないんだ。
もうそれしかないんだ。
それしかあたしに残された道はないんだ。
「────…頑張ろ……」
あたしはそのまま自分で自分を納得させ、ようやく立ち上がった。



