「───ねぇ彩っ♪
いつあの人を紹介してくれるの?」
「───…あ……
じゃあまた今度…」
しばらく落ち着いてから断りの返事を返そう、
そう思っていた矢先
「───今ここで電話してくれないかなぁ?」
息が
凍り付いたかと思った。
─────今?
……どうして?
「そうだね~っ!!!!
こういうのは直感って言うしぃ♪早い方がいいもんねっ!♪」
「───うん……
マキね……?
彩にもあの人の事聞こうと思ってたんだ。
だってもし、あの人が彩の好きな人だったら、マキ泥棒じゃん?」
「───…だから…っ」
「───でも、彩にはずっと忘れられない人がいるもんねっ?♪
マキと一緒だもんね♪」
「────……ちが…」
「───え?
じゃああの話ウソなの?」
「─────……」
「ね、お願い♪
マキ、早くあの人に会いたいんだぁ♪
こんな気持ち初めてだもん。」
「……………」
………マキは
こんなあたしを助けてくれた。
……だから、出来る限り力になってあげたいと思っていた。
………けれど。
朝岡さんを紹介するなんて出来っこない。
……出来っこない、のに。
「───早くしてやれよ?ほら、ケータイ。」
─────カシャン!
───…集団心理って、
時に人の正気を狂わすモノだと思う。
集団で行動すると、自分も同じ行動を取らなきゃって思ってしまう。
はみ出さないようにと、何故か自分もみんなの行動に合わせようとする。
……だから、そう。
群がる群集に、威圧感たっぷりで見つめられて
「────……」
冷静に状況を判断する力は狂い、
この後待ち受ける結果さえも予想出来なくなって
─────…カチッ……
無力に、群集にひれ伏してしまうんだ。
「───早くして?」
「─────…」
─────ピッ…
【リダイヤル】
朝岡さん
発信しますか?
「………………」
────…ピッ…
“はい”



