「────…や」
「─────彩!」
─────ビクッ!
「やだなぁもう!
ずっとさっきから呼んでたのに、彩ってばボーッとしてるんだから!」
「………え……」
マキに呼ばれて顔を上げると、いつの間にか授業は終わっていたらしく、教室内はザワついていた。
「……ねぇ……
彩、大丈夫……?」
「…………」
「さっきのビデオ、キツかったんじゃない……?」
……全てを話して事情を知ってくれているマキは、心配そうにあたしの顔を覗き込んでいた。
「……………」
「……ごめん、大丈夫じゃないよね。
あたしってば、何か無神経でごめんね……。」
「……そんなこと……」
マキが謝る事じゃないじゃない───……。
「───…彩、あのね?」
マキは涙目になりながら、そっとあたしの手に触れ
「───あたしは、彩の味方だからね?」
───…そう言って、ギュッと手を握り締めてくれた。
「────……っ」
それが嬉しくて
嬉しくて───……。
そうだ、マキは分かってくれているんだって。
一人じゃないんだって。
そう再確認した瞬間に、ブワッと胸に熱い感情が溢れていた。
「……マキ……」
“ありがとう”と言おうと顔を上げた時。
「───マキ~!
先生が呼んでるよーっ!!!!」
「あ、はーい!
ごめんね彩、ちょっと行ってくるね。」
「……あ、うん。」
マキがパタパタと教室から姿を消したその瞬間。
─────シーン………
教室内の話し声がピタリと止み、一斉に視線があたしに向けられた。
────…え……?
なに、何で急に…………
マキ
お願いマキ、早く戻って来て──……!
けれど
────…ヒソヒソ…
「マキちゃんって本当にいい子だよね。」
「ホント。ホント。
何であんな自分の手首切り刻むような奴にまで優しいんだろ?」
「さすがマキちゃんだよね。
……にしても気持ち悪いよね~…。精神病んでるじゃない?」
聞こえて来たのは、そんな囁きだった。



