「……じゃあ、プリントを後ろから前に回して集めて下さいね。」
────パラパラ…
後ろから回ってくるプリントに、白紙で何も書いていない自分のプリントを重ね、前へ送ろうとした時。
───…そこで、偶然チラリとみんなの解答が目に入った。
───────────
解答
もし身近にリストカットしている人がいたら、すぐに気付いてあげて助けてあげたい。
あたしも、その人の力になれるように親身になって対応し、ケアしてあげたいと思います。
───────────
──────……。
すぐに
気付いて
助けてあげたい?
─────…どこが?
ねぇ、絶対気付いてるよね?
もう知ってるよね?
知ってて“リクエスト”って言ったんだよね?
「……………」
ここにいるじゃん、
“そういう人”。
ここに座ってるじゃん、
“助けてあげたい人”。
違うの?
あたしじゃないの?
助けてくれないの?
……あの惨めな瞬間は今でも忘れない。
───忘れられない。
コンプレックスや気にしている事を、“リクエスト”されて
好奇の視線で舐めるように前後左右からジロジロ見られて
指差されてクスクス笑われて
ロクでもない噂をヒソヒソ囁かれて
まるで
“見せ物状態”で……。
「………………ッ」
怖くて怖くて、ずっと震えていた。
何が起こったか、分からなくて分かりたくなくて、ずっと平常心保とうとしていた。
周りの視線に怯えながら、服の袖必死に伸ばして見えないようにしていた。
────…顔……
上げられなくて、ずっと俯いていた。
みんながまた見てるんじゃないかって、怖かった……
ギュッと拳を握り、一人必死に耐えていた。
決して涙を溢さないように。
決して泣かないように。
───…思い出すのはいつもそう。
一人泣くのを堪えて俯いている………
────あの頃の、ちっぽけな自分。



