「……ほんと?」
「……うん。
“いつか”のその時、彩がオッケーやったらね♪」
「───いっ……行きたいっ…!」
─────ギュッ…!
嬉しさを抑えきれず、朝岡さんの腕に抱きつく。
「……じゃあ……
いつか一緒に行こう。」
「───……あたし……
朝岡さんと一緒ならどこだっていい……。」
「……彩……」
───…恥ずかしくて恥ずかしくて。
抱きついた朝岡さんの腕に埋もれて顔を隠した。
………嬉しかった。
たとえお世辞でもウソでも嬉しかったよ。
未来の約束が一つ増えるたび、生きていく希望みたいなのが湧いた。
知らない土地でも、二人肩を並べて。
まだ見たことない景色を、一緒にこの目に映したい。
……そうやって。
まだ知らない世界の広さを、二人で共有出来たらどんなに幸せなんだろうね──……?
────…ギュッ。
腕に絡まって隠れているあたしの身体を、そっと包み込むように朝岡さんが重なってきて。
「───…あのさ……
じゃあ、その“いつか”に期待していい……?」
朝岡さんが耳元で掠んだ声を出して問い掛けた。
───…顔を上げて朝岡さんを見つめると
「───…なーんてな。
いつになってもいいよ。
……待ってるから。」
そう言って軽く彩の髪に触れ、コーヒーを淹れにキッチンへ消えてしまった。
「…………」
触れられた髪を自分で触りながら、頬を緩める。
……ねぇ、本当はね。
もう好きだよ。
朝岡さんが望んでる
“いつか”はもうすぐそこまで来てるよ。
───本当は……
別に今言ったって結果は変わらない。
……だからこそ
自分で誘って自分で決めた日に、
あなたの事を思い巡らせながら買った服で
あなたにゆっくりこの想いを伝えたいって……
最高のシチュエーションで驚かしてあげたいから。
だからあと1日。
予期せぬ最高の1日にしてあげたいと願うから。
だからごめんね。
あと1日だけ、待っていて────……



