シンプルな写真立ての中で笑っているのは───…
「───…これ……
朝岡さん……?」
「………ん~?
──…あぁ……。
これ、小さい時の俺と母。」
「────えっ!!!!!!」
若っ!!!!!
おまけに超綺麗だし!!!!!
───…写真の中には、
幼い朝岡さんと、生前の朝岡さんのお母さんが笑っていた。
やわらかそうなふわふわの長い髪と、白いワンピース。
小さい朝岡さんを後ろから抱き締めるように笑っている顔は……
「───…やっぱり朝岡さんに似てる……。」
……そっくりだ。
……親子だなぁ……。
……自然に笑顔が零れて、簡単に温かい気持ちになる。
───すると朝岡さんは
「……これは確かアメリカで過ごしてた頃の写真ちゃうかな。
……ほら。」
「───え?」
指を差して教えてくれる話に、思わず目をパチパチ。
………あ、
アメリカ?
って……
「───アメリカに住んでたの?」
「……うん、そう。
期間は短いけど、ガキん頃は親父が転勤族で。
色んなとこ飛んだりしててさ。
あとイギリスとフランスにも住んでた……
……って言ったことなかったっけ?」
「───知らないよ!!
今知ったよ!!!!」
「……そっか。ごめんごめん。」
────……。
……もう……。
朝岡さんってば、何でこうも知るたびに奥が深い人なんだろう。
……ってことは、やっぱり英語とかもバリバリ喋れたりするんだろうな……。
……でも多分……。
そういう事を自慢したり、鼻にかけたりしない人だから、余計聞いた時にビックリしちゃうんだよね。
「───いいなー……
海外……」
「……いや、俺も小さかったから正直あんま覚えてないよ。」
「……でもうらやましい。
あたしも海外行きたいなぁ…
行ったことないもん……。」
昔一瞬だけ“留学したい”って思った事あったのになぁ……。
“無理だ”って簡単に諦めちゃったし。
──……はぁ……
溜め息を付くと朝岡さんはフッと笑い、
「───じゃあ
いつか俺が連れてってあげるよ。」
……そう、言った。



