────ギュウッ……!!!!
泣いちゃダメ。
泣いちゃダメだよ。
バカだなぁ。
自分で切ったんだよ、自業自得じゃない。
ただでさえ気持ち悪いと思われてるのに、ここで泣いたりしたらもっと引かれちゃうよ。
────……でも
でも─────……
“離れないで”
“軽蔑しないで”
………つい、願っていた。
「────…彩。
………あのね?」
「────…」
ドクドクドク───…。
怖い。
何言われるんだろう。
否定されるのかな。
やだな……
やだ───……
「……彩……?
こうなった理由……
マキに話せたら話して欲しいな……。
────…マキ、彩のこと大好きだから。」
────……え……?
───空耳?
───幻聴?
だって今、何て───……
「……マキ、彩の方が心配だよ!?
……そんな……
悲しい時にまで、無理に笑わなくていいんだよ……?」
「…………っ」
一瞬、胸がじんわり熱くなった。
マキの優しさと気遣いが、陽だまりのように温かかった。
それに気付いたのは、
頬に一粒、また一粒と目から雫が流れ落ちていたから。
「───…マキ……」
「泣かないでいいじゃん!」
「……ありがとう……
本当にありがとう……」
「もう、彩ってば鼻水出てるよ!はい、これ!!!!」
「……あ゛、ありがと…。」
───涙が止まらなかった。
全部話すと、マキは引くどころか一緒に泣いてくれた。
『大丈夫だよ。』
……その一言が本当に嬉しくて。
“変な目で見られるんじゃないか”とビクビクしていた自分がちっぽけに感じた。
人って温かい、優しい。
もしこの先、マキが何か悩んでたら絶対力になってあげたい。
そう素直に思っていた。
───マキ。
“ありがとう”。
───…あの時。
確かにその想いで胸がいっぱいだったの。
あなたの為なら力になるからねって。
次は彩が助けてあげるからねって。
………嘘じゃない。
そう思っていたのは、嘘じゃなかった。



