「───…続いて卒業証書授与───……」
次々と卒業生の名前が呼ばれ、一人一人立ち上がって行く。
────そして
「────…桜井 彩。」
「────はい。」
そう返事をして立ち上がった時。
あぁ、いよいよもう卒業なんだな……と思った。
「───おめでとう。」
─────ポンッ。
校長先生から授与された卒業証書。
この卒業っていう証を貰う為に、テスト必死だったし、留年に怯えながら追試とか補習受けたりしたなぁ……。
何かやっぱり感極まるものがあるな……。
そう考えたら、軽い一枚の紙切れにも重みが生じる。
今までの苦しみも、
きっとこの瞬間に報われる。
────…高校卒業。
赤い花道を歩き退場する卒業生達を、それぞれの保護者が目頭をハンカチで押さえながら見送る。
───その中には、もちろんお母さんも。
充血した目で真っ赤に目を潤ませながら、すれ違うあたしを見つめていた。
あたしはまだ、親の立場になったことないから分かんないけど。
自分がお腹を痛めて生んだ子の成長をこうして見るのは、きっと何ものにも変えられない気持ちなのかな。
胸が熱くなるのかな。
……だからそうやって涙を流してくれるのかな。
………ありがとう。
いつもそうやって見守ってくれて。
いつも朝が弱いあたしを起こしてくれたよね。
いつも朝御飯と美味しいお弁当作ってくれたよね。
進路の相談とか、
今日何があったかとか、
くだらない話まで何でも聞いてくれたよね。
────あたしね?
お母さんが大好きだよ。
この世で、たった一人のお母さんだもの。
一番色んな意味で尊敬してる。
時々くだらない事で言い合ってケンカしたりする日なんかもあるけどね。
だけどすぐごめんねって言い合える。
これからも迷惑かけちゃうけど……
いつか親孝行したい。
いつか働けるようになったら、あたしが働いて貯めたお金でお母さんを海外旅行に連れて行ってあげたい。
そして必ず言うから。
“育ててくれてありがとう”って───…
だから今はまだ秘密。
あたしの小さな夢──…。



