「───えー…まず、卒業生の皆さん。今日は卒業おめでとうございます。」
背中にやや多めの視線を感じながら、校長先生の挨拶が始まった。
PTAの役員の話とか、送辞とか答辞とか──…。
……あたしはといえば、ちょうど目の前に映っているスクリーンを見つめていた。
「────……」
───それはこの三年間の軌跡。
合格発表、入学式から始まり、
校外学習や文化祭、体育祭。
そして修学旅行。
合格発表を見て、涙に濡れた青空。
“もしもしお母さん?
あたしだけど……
───合格したよ。”
入学式に胸弾ませた高校生活。
“あたし笹原ナナ!
───よろしくね。”
バーベキューしてみんなと打ち解けた校外学習。
“桜井さんって下の名前何ていうの?”
“彩だよ♪白石さんは?”
“あたしはねー…”
クラスメイト全員で力を合わせて作ったお化け屋敷。
“超~ッッッ怖いお化け屋敷作って、美術クラスの力見せつけてやろうぜ!!
それで優勝狙おう!”
“おーっ!!!!!!♪”
白熱して声を張り上げた体育祭。
“──頑張れー!!!!!!”
“4組なんかに絶対負けるなー!!!!!!”
広大な北海道の地に興奮しまくった修学旅行。
“札幌~♪小樽~♪函館ーっ!”
“美味しいもんいっぱい食うぞ~っ!”
“いえーいっ★”
………………
…………あー………。
何か………。
何か────……
入学したのも最近に思うのに
ほんとに
ほんとにもう卒業しちゃうんだ────…。
────ポロっ…
ポロポロっ…。
「────……っ」
みんながすすり泣いているのと一緒に。
自分も堪えきれなかった。
───流れ落ちる三年分の熱い熱い涙を。



