────♪♪♪…
華麗なる吹奏楽の合奏と共に、重々しい体育館への扉が開かれる。
あたし達卒業生は、次々とその厳かな雰囲気の中へ足を踏み入れ入場した。
ズラリと並ぶ保護者やPTA、在校生の来賓席。
体育館内は至るところに花が飾られ、赤い花道なんかも用意されていて───…
─────ゴクッ…。
卒業独特の雰囲気に、思いっきり生唾を飲み込んでしまった。
さっきまで別に緊張なんてしてなかったのに、いざ本番ってなるとやっぱり緊張するもんだよね……。
────おまけに。
「───きゃー!!!!!
いたわっ!彩ーっっ!」
─────ゲッ!
ぎょっとしてしまったのは、娘を見つけてよほど嬉しかったのか、激しく手を振ってくるお母さんがいたから。
───何してるのお母さん!
運動会とかじゃないんだから、せめてもうちょっと声のボリューム下げてくれ~……!!!!
なんて赤っ恥丸出しの表情をしていると
「───ねぇほら見て!
────朝岡さん!
彩よ!あそこにいるわっ!」
────────!
……い………
今何と………
「……あ、本当ですね♪」
「───えーどれどれぇ?」
「──ほらあそこよ♪
見えるかしらいっちゃん♪」
「……ママさんはホント目がいいんですね、若い証拠です。」
「まぁマリアちゃんってば!上手いこと言うわね!!
ねぇゴローちゃん、しっかりビデオ回ってるかしら?」
「バッチリです、ママさん♪」
─────な
何故ぇぇぇぇぇ!?!?!?!?
何でいつの間にお母さんと紅のみんなが仲良くなっちゃってるの?!?!?!
何でちゃっかりみんなに挟まれて、うちのお母さんが逆ハーレム状態になってるの!?
何で?!
何で何で何で?!
「~~~~…!?」
完全にパニックを起こしていると
──────……。
その様子に気付いたのか、朝岡さんはくすくすと笑っていた。
………………。
あのミーハー代表お母さんの事だ……。
きっと朝岡さん達を見付けて仲良くなったんだろう……。
うちの母親は────…
……あ……
あなどれない……。



