『卒業生は体育館へと移動して下さい。繰り返します。卒業生は───…』
「──…よいしょっと♪」
胸にピンクの花を飾っていると、教室に移動を促すアナウンスが流れた。
「彩、移動しよっか。」
「うん♪」
────ヒュウッ……
3月とはいえ、まだ上旬。
まだ少し肌寒い風が吹く中、ナナと彩は一緒に体育館へと向かった。
───…と、その歩いている途中。
「───ねぇねぇ、見て!
あの人達かっこよくない?」
「───うわっ!ホントだ!
すごいオーラあるね!」
すぐ前方で、複数の女の子達の輪がそんなヒソヒソ話をしながら立ち止まっている。
「……………?」
カッコいい………人……
「───ったく後ろつっかえてんだから立ち止まるなっての!
ねぇ彩!
……………彩?」
「─────……」
足を止めてしまった彩に、ナナが驚いた様子で顔を覗き込んで来た。
───…足を止めてしまうのも、無理なかった。
だって─────……
「───あーっ!!!!!
アヤヤはっけーんっ!!!!♪」
「───壱、お前うるさいって!」
「だぁってアヤヤ見つけたんだもん!アヤヤーっ!!!!!!!」
「───いっちゃん!?」
───…そう。
そこには間違いなくあの紅の四人……。
いっちゃん、
マリア、
ゴローちゃん、
そして
「─────彩!」
笑顔で手を振る朝岡さんの姿が───……



