「───…あ。朝岡さん。」
「ん?」
「───手、広げて?」
「………???」
全く意味が分からないのか、朝岡さんは首を傾げながら手の平をあたしに近付けた。
「───…ハッピーバースデー♪」
─────ポンッ……。
さっき買った小さな袋を、朝岡さんの大きな手の平に乗せる。
「───…え…」
「───…あたしからの誕生日プレゼント♪
……さっき買ったの。
マリアには安上がりだって言われたんだけど……」
「───…俺に……?」
「───うん♪
これね、“幸せを運んでくれる魚”なんだって。」
「…………幸せを?」
朝岡さんはパチパチとまばたきを繰り返し、手の平にある魚をジッと見つめた。
「───うん。
朝岡さんに幸せが舞い込みますようにって思ったの。
だから……
持っててくれると嬉しいな……って……。」
─────あれ……。
最後の方、かなり言うの恥ずかしくてどもっちゃったよ……。
「……彩……」
顔を上げた朝岡さんは、
本当に嬉しそうにはにかんで。
「───…ありがとう。
ほんま嬉しい……。」
顔を綻ばせて、子供みたいにくしゃっと笑った。
………よかった……
不思議だね。
朝岡さんが笑うと、あたしもすっごく嬉しいなんて。
「………彩、あのさ。」
「ん?」
振り向くと、今度は何と
─────ポンッ……。
「……………え?」
次はあたしがそんな驚きの声を上げた。
だって────……
「───…朝岡さん…
これ……」
───…そう。
今度はあたしの手の平に、
小さい巾着型したピンクの御守りが乗せられていたんだ。
……え……
そして、朝岡さんはニッコリ微笑む。
「───明けましておめでとう、彩。」
「──────…!」



