「───…ありがとうございましたー。」
─────…うしっ!
小さな袋をポケットの中に入れ、込み合う人混みからやっと抜け──…
「───…あ、いた。
小さいからどこに消えたのかと思った。
………何か買ってたの?」
ちょうど煙草を吸って一服しているマリアとバッタリ合流。
「……えっへへー♪
見てこれっ♪じゃんっ!!♪」
─────カサッ♪
得意気な笑顔で、さっき買った小さい袋を出してマリアに見せつけた。
「───…ふーん。純に?」
「そっ♪誕生日プレゼントに買っちゃった~♪」
「……安上がり……。」
「───うっ、そこは触れないでよっ!気持ちだもん気持ち!」
「……いいんじゃない?
でもそれ───……」
「え、何なに?」
マリアが訝しげにジーっと魚を見つめるもんだから、何か不安になってくる。
「……いや……
ううん何でもない。
早く渡して来たら?」
────…ニッコリ。
「?う、うん……」
…………?
な、何か……
何だろう………
マリアが意味深に笑うから、ちょっと構えてしまう。
───…でもね、
マリアが微笑んだ意味がすぐに分かったの。
「───あっさおっかさーんっ!」
━━━━━ドンっ!
「─────!?!?」
ザワついている人波から、朝岡さんを見つけて背中に体当たり。
「──あぁ、彩かぁ……。びっくりした。」
振り向いた朝岡さんの笑顔に、今から渡すサプライズを期待してあたしも笑顔になる。
「───…あ。彩寒ない?何か温かいもん飲めへん?」
「うんっ、飲むっ♪」
「じゃとりあえず抜けよっか。」
朝岡さんが指差した自販機に頷き、あたし達は人波を抜けた。



