「───…なっ……
何言い出すの……」
「ふっふー♪彩覚えてる?
あの罰ゲーム♪」
「…………」
───一年生の文化祭。
あたし達のクラスは、“お化け屋敷”をする事になって。
……その時、カップルで回っても楽しめるようにと、散々アイデアとかルールを出し合って……。
最終的に出た罰ゲーム案が──…
“必ず、手を繋いだまま回ること。
もし手を離してしまったら、罰ゲームとして──……”
「………キス……するやつだったよね……。
確か……」
「───そっ♪
よく覚えてるじゃんっ♪」
ナナは相変わらずにやにやと、やらしい笑顔で見つめてくる。
「そんなのあったね、そういえば……。
罰ゲームのはずが、実はカップルにとっては嬉しいっていう………」
その為に、何が何でも手を離してもらうようにカップルを全力で怖がらせたっけ……。
「───うん、でね?
ナナ、まさか朝岡さんが彩を好きだとは思わなかったから、チカさんと一緒にどーぞって入ってもらったんだ。」
「…うん。」
「……でね、やっぱり手が離れちゃって。」
「……うん……」
「………でね………」
「……………………」
────……ドキン…
────……ドキン…
……したの……かな……?
するよね、やっぱり……
……それとも───…?
何故かドキドキしてしまい、緊張を押さえながらナナを見つめると──…
「────やっぱりやーめたっ♪」
「────えぇっ!?!?!?」
何それ!?!?!?
まさかのナナの焦らした返答に、あたしは思わず大声で叫んでしまった。



