Music of Frontier

──────俺達はあれから、お互いに一番の親友であり続けた。

ルトリアが第二帝国騎士官学校に行き、寮に入ってからも。

ルトリアがマグノリア家を追い出され、病院に入院してからも。

ルトリアの周りにいた俺以外の全員が、ルトリアを見捨てようとも。

俺は、ルトリアの味方であり続けている。

少なくとも…俺はそのつもりでいる。

ルトリアの方は、どう思っているのか分からない。

もしかしたらルトリアはもう、俺のことなんて忘れてるのかもしれない。

自分が本当に辛かったときに、何の支えにもなってやれなかった不甲斐ない親友を…ルトリアは、とっくに見限っているかもしれない。

だけど、例えルトリアが俺を見限っても、俺はルトリアの傍から離れたりはしない。

ルトリアが「お前なんて大嫌いだから、二度と俺の前に現れるな」と言ったとしても。

なんて執念深さだと思われるかもしれないが、生憎俺は、執着するタチだからな。

そう簡単に、やっと出来た唯一の親友を手離すつもりはない。

だから俺はこうやって、女々しくもメモ用紙を前にして、ルトリアに手紙を書こうとしている。

この短い紙片の中に、どんなメッセージを込めるべきか。

俺は、散々頭を悩ませた。

良い歳して、何て手紙を書くか思い悩むなんて。

端から見れば、相当見苦しいことをしている自覚がある。

でも仕方がない。こうでもしなければ、ルトリアに思いを伝えることが出来ないのだから。

…さぁ、何て書こう。

死にたくなるほど思い悩み、人生に絶望した親友に、俺は何と言うべきなのだろうか。