Music of Frontier

すると、ルトリアは。

「いつか二人で行ってみましょう。もっと大きくなったら」

「え…。ルトリア、興味あるのか?」

無理に付き合わせるつもりはないのだが。

「ありますよ~…。ルクシーが好きなものだったら、俺も興味あります。一緒に行きましょう、いつか」

「そうか…。それは良いな。よし、一緒に行こう」

「楽しみですね」

全くだ。

いつになるかは分からないけど…いつか、本当に一緒に行けたら良いな。

それまで俺達は、今みたいに仲良くいられるだろうか?

「…に、しても…ルクシー」

「うん…?」

ルトリアは、ステージ上で歌っているアーティストを指差した。

「この人達、楽しいんでしょうか?こんなに踊って歌うの、疲れるでしょうに…」

…その発想は、ちょっとなかったな。

「楽しい…んじゃないのか?楽しくなかったら、こんなことやらないだろ」

「そうなんですかね?いくら楽しくても、こんなテンションを維持するのは大変ですよね。俺だったら、ステージに立った時点で緊張して笑える気がしません」

…確かに。

多分この人達は、慣れてるから大丈夫なんだよ。

そもそも、ステージに上がって緊張する人は、ライブをやるには向いてない。

「やっぱり、客として見て楽しむくらいが良いですよね。一緒に行きましょうね、ルクシー。約束ですよ」

「あぁ、分かった。約束な」

子供の頃の、小さな口約束が。

やがて俺達の人生そのものを変えようとは、このときはお互い、思ってもみなかった。