Music of Frontier

そして、マグノリア家のパーティー、当日。

「え…俺も行くの?」

「ごめんね。母さん、朝から頭痛がして…。ルクシーが傍についていてくれると心強いのよ」

当日になって、俺も一緒に来て欲しい、と母に頼まれた。

朝から頭痛…って。

「大丈夫なの?無理なら、断った方が…」

ドタキャンになってしまうが…。体調が悪いのに、無理して行くのは良くない。

しかし。

「大丈夫よ。そこまで酷い訳じゃないから…。それでも、ルクシーが一緒に来てくれると有り難いんだけど…」

「…」

正直なところ、俺はあまり行きたくなかった。

パーティーの招待状を受け取ってから、我が家は溜め息続きだ。母も困ったような顔ばかりしていたし。

俺にとってマグノリア家は、ただの成金貴族だった。

大体、俺はマグノリア家の当主なんて知らない。

知らない奴の誕生日パーティーなんて、興味がないどころか苦痛ですらある。

でも…他でもない、母の頼みだ。

母が、俺に一緒に来て欲しいと言っているのだ。

なら、断る訳にはいかない。

「分かった。一緒に行く」

「ごめんね」

幸いなことに、貴族といえども子供の場合は、それほど服装チェックが厳しい訳ではない。

それに、俺には昨年仕立てたばかりの余所行きの服があるから、それを着ていけば問題なし。

渋々ながらではあるが、俺は余所行きに着替え、母の付き添いのつもりで、マグノリア家のパーティーに行った。

心は重かったが、後々になって、俺はその日のパーティーについていって良かったと思うことになる。

何故なら、その日、そのパーティーに行ったからこそ。

俺は、生涯の親友に出会うことが出来たのだから。