Music of Frontier

「…にゅふふ」

「…気持ち悪いな、お前…。何なんだその笑顔は」

我ながら気持ち悪いと思ってるけど、今日ばかりは許して欲しい。

だって俺、自分の誕生日をこんなに祝ってもらったの、生まれて初めてなんだもん。

今日はもう、何もかも大満足であった。

昼間、俺の誕生日企画として、yourtubeで一時間くらい、ライブ配信を行った。

そうしたらたくさんの人が観に来てくれて、そしてたくさんの人が「おめでとう」コメントを送ってくれた。

投げ銭もたくさん頂いてしまいました。ありがとうございます。

で、ルクシーやミヤノ達からもプレゼントもらったでしょ?

そしてお家に帰ったら、ルクシーのお母様が、大きなチョコケーキと、美味しいプリンを用意していてくれた。

幸せが一杯です。

「今日、もう死んでも構わない…。それくらい嬉しい…」

「大袈裟な奴だな…」

だって、今まで誕生日なんて、そんなにおめでたいことじゃなかったんだもん。

特に、実家にいた頃は。

姉とルクシー以外は誰も祝ってくれなかったし、第二帝国騎士官学校にいた頃なんて、誕生日の存在そのものを忘れるくらい多忙、かつ大変な毎日だった。

そんな俺が、今や顔も知らない大勢の人々に祝福されるようになったんだから。

人生ってのは、分からないものだ。

皆にあれだけ祝福してもらったんだから、俺もお返ししないとな。

「このくらいで、そんなに大袈裟に喜んで良いのか?」

「このくらいって…充分凄いじゃないですか」

「来年はきっと、もっと大勢に祝ってもらえるぞ。今こんな調子で、来年どうするんだ?」

「…!」

来年。

そっか…俺の誕生日って…来年もあるんだ。

もうこれで一生の誕生日終わった気がしてた。

来年…また祝ってもらえるのか。

しかも、来年はもっと大勢の人に祝ってもらえるかもしれないんだ。

来年もあるし、しかも再来年も、もっと先も、誕生日あるんだ。

…なんてことだ。

「来年も誕生日あるんだ…待ちきれないですね」

「おいおい…。お前、今日が誕生日だってこと忘れてないか?」

こんな幸せな日が、来年も再来年もあるのかと思ったら。

にゅふふな笑いが止まりません。

「…楽しみだなぁ…」

未来が楽しみに思えるようになるなんて、これ以上幸せなことなんてない。





















END