Music of Frontier

あれからというもの、エルはミヤーヌと共にやってきた。

最初に揃ったのがキーボードとドラムという、随分偏ったバンドだったが。

とにかく二人だけじゃバンド出来ないから、まず仲間を集めよう。いや、いっそ二人で歌うか、なんて血迷ったことを相談し合い。

バンドメンバー募集サイトなるものがこの世に存在することを知り、陰キャ二人は、びびりながらそのサイトに登録した。

そこからルクシーヌが加入して、そのルクシーヌがルトリーヌを連れてきて、それからミヤーヌがベアトリーヌを連れてきて。

バンド名も、『ダーク・エンジェルズ』から『frontier』になり。

今や、エル達はその地位を不動のものとした。

宣言通り、エルは音楽で生きている。

見返してやった感は凄かった。散々馬鹿にされた分だけ、今のエルの姿を見せつけてやりたかった。

まぁ…会いたいとは思わないんだけどな。今更、家族には。

自分の生まれた家だけが世界の全てだった、子供の頃とは違う。

親に愛されなくても、エルを愛してくれる人はいる。

必要としてくれる人も。

だから、もう良い。

何もかもから愛されようなんて贅沢は望まない。一生絶縁したままでも構わない。

ミヤーヌやルクシーヌみたいに、親と仲良しだったら羨ましいな~とは思うけど。

自分には手が届かない夢だって、ちゃんと分かってる。

今更手のひら返して愛されても、逆に困るしな。

だからまぁ…両親に対しては。

とりあえず、生んでくれてどうも、ってことで。

それだけで良い。向こうが頭下げて来るなら考えるけど、そうじゃないならこのままで充分。

…散々馬鹿にしてきた連中には、もう充分、見返してやったんだからさ。

今度は、自分の為に生きて良いだろ?