Music of Frontier

正直なところ、俺はもう、どうでも良くなっていた。

何もかも…もう、どうでも良い。

諦めと、自棄。俺の中にあるのはそれだけだった。

…帝国騎士になれないのなら、俺に何の価値がある?

ここで俺が首を振っても、足に障害を持った俺は、もう騎士官学校にはいられない。

帝国騎士団にも入れない。まず間違いなく、身体検査で落とされる。

そして、家からも勘当されるだろう。

帝国騎士になれない人間が、貴族を名乗る資格はない。

OKと言おうとNOと言おうと、俺の運命は変わらない。

ならば、もうどうでも良い。

何もかも、全てがどうでも良かった。

…あんなに必死に努力して。遊びたいのを我慢して、一生懸命勉強して、辛い稽古をして、やっと帝国騎士官学校に入学したのに。

入学してからも、ルームメイトの先輩に散々いじめられて、嫌がらせされて。

友達だと思ってた人に裏切られ、謂われもないカンニング疑惑で、散々陰口叩かれて。

姉にも理解してもらえなくて。

死ぬほど辛い思いをして、歯を食い縛って頑張って生きてきて、あと一年我慢すれば良い、ってところまで来てたのに。

…全部、無駄になった。

何だったんだろうな?俺の今までの人生って。

「…分かりました。良いですよ」

「!本当か」

学校をクビにしたいのなら、好きにしてくれ。

もうどうでも良いから。自分の未来も身体も、この命も。

「済まない、本当に…!恩に着る…」

理事長も学園長も担任教官も、土下座せんばかりに頭を下げた。

この瞬間、俺の心の中から、感情が消え去った。

これで、何もかも…全てが終わった。