俺が、一体何を悪いことをしたと?
俺に何の責任があると?
怪我をしたのは俺のせいじゃない。学校の備品である脚立が壊れていたせいだ。
何より、本来学校説明会の準備なんて、本来は生徒の仕事ではなかった。
それを教官の都合で半ば無理矢理手伝わされ、そこで怪我をした。
その後だって。俺が怪我をしていたのは明らかなのに、学校の不祥事が発覚することを恐れ、二時間も放置された。
全部、学校側の責任だ。俺の責任じゃない。
俺は何も悪いことなんてしてない。
それなのに、どうして俺がこんな目に遭わなければならない?
「その通りだ…。その通りだ。君は何も悪くない…。こんなことになってしまって、申し訳ないと思っている」
「あ、謝って済むと思ってるんですか!俺は、俺は帝国騎士団に入る為だけに生きてきたのに、その為に俺が、どれだけ毎日辛い思いをしたと…!」
「いずれにしても、君はもう帝国騎士団には入ることが出来ない。その事実は変わらないんだ…」
「…」
…目の前が真っ暗になるとは、こういうときのことを言うのだと知った。
出来れば永遠に、知りたくはなかった。
「ならばせめて、未来の帝国騎士団を守ってくれないだろうか。このままでは、帝国騎士官学校のみならず、帝国騎士団の威光も地に堕ちてしまう。最悪、国が荒れることになる…」
ただでさえ、女王暗殺未遂事件のせいで国内が乱れているのに。
これ以上、ルティス帝国の秩序を乱す訳にはいかない。
その為に、俺に犠牲になれと。
どうせもう帝国騎士にはなれないんだから、せめて帝国騎士団の未来の為に、人生を犠牲にしてくれと。
どうせ死ぬなら、役に立ってから死ねと。
そういうことなのか。
生まれてからたったの16年で、こんなにも恐ろしい選択を迫られている。
あまりの恐怖に、俺は身体が震えた。
もう痛みは感じなかった。痛み以上に怖かった。
どうせ帝国騎士にはなれないのだから、せめて帝国騎士団を守る為に、カンニング犯の汚名を被って、生まれた家も名前も取り上げられる。
簡単には決められなかった。
大体、俺はもう足がまともに動かないのだろう?
家族に捨てられて一人になったら、俺はどうすれば良いんだ?
まともな身体すらなくし、たった一人で。
家も、名前も、富も名誉もなくして。
不自由な身体一つだけを持って、俺は一体、どうやって生きていくんだ?
「…もし引き受けてくれるなら、秘密裏に、一生困らないだけの慰謝料を払うつもりだ」
「…」
…そうですか。金はやるから、それで生きていけと。
それが何になると言うのだ。金よりも、俺は帝国騎士としての未来が欲しかった。
「頼む、国の為なんだ…。どうか引き受けてくれ」
「…」
俺は答えず、ぼんやりと天井を見上げた。
俺に何の責任があると?
怪我をしたのは俺のせいじゃない。学校の備品である脚立が壊れていたせいだ。
何より、本来学校説明会の準備なんて、本来は生徒の仕事ではなかった。
それを教官の都合で半ば無理矢理手伝わされ、そこで怪我をした。
その後だって。俺が怪我をしていたのは明らかなのに、学校の不祥事が発覚することを恐れ、二時間も放置された。
全部、学校側の責任だ。俺の責任じゃない。
俺は何も悪いことなんてしてない。
それなのに、どうして俺がこんな目に遭わなければならない?
「その通りだ…。その通りだ。君は何も悪くない…。こんなことになってしまって、申し訳ないと思っている」
「あ、謝って済むと思ってるんですか!俺は、俺は帝国騎士団に入る為だけに生きてきたのに、その為に俺が、どれだけ毎日辛い思いをしたと…!」
「いずれにしても、君はもう帝国騎士団には入ることが出来ない。その事実は変わらないんだ…」
「…」
…目の前が真っ暗になるとは、こういうときのことを言うのだと知った。
出来れば永遠に、知りたくはなかった。
「ならばせめて、未来の帝国騎士団を守ってくれないだろうか。このままでは、帝国騎士官学校のみならず、帝国騎士団の威光も地に堕ちてしまう。最悪、国が荒れることになる…」
ただでさえ、女王暗殺未遂事件のせいで国内が乱れているのに。
これ以上、ルティス帝国の秩序を乱す訳にはいかない。
その為に、俺に犠牲になれと。
どうせもう帝国騎士にはなれないんだから、せめて帝国騎士団の未来の為に、人生を犠牲にしてくれと。
どうせ死ぬなら、役に立ってから死ねと。
そういうことなのか。
生まれてからたったの16年で、こんなにも恐ろしい選択を迫られている。
あまりの恐怖に、俺は身体が震えた。
もう痛みは感じなかった。痛み以上に怖かった。
どうせ帝国騎士にはなれないのだから、せめて帝国騎士団を守る為に、カンニング犯の汚名を被って、生まれた家も名前も取り上げられる。
簡単には決められなかった。
大体、俺はもう足がまともに動かないのだろう?
家族に捨てられて一人になったら、俺はどうすれば良いんだ?
まともな身体すらなくし、たった一人で。
家も、名前も、富も名誉もなくして。
不自由な身体一つだけを持って、俺は一体、どうやって生きていくんだ?
「…もし引き受けてくれるなら、秘密裏に、一生困らないだけの慰謝料を払うつもりだ」
「…」
…そうですか。金はやるから、それで生きていけと。
それが何になると言うのだ。金よりも、俺は帝国騎士としての未来が欲しかった。
「頼む、国の為なんだ…。どうか引き受けてくれ」
「…」
俺は答えず、ぼんやりと天井を見上げた。


