Music of Frontier

バンドを始めてから、人が変わったように生き生きし始めた俺を、両親は心から応援してくれた。

今でもそれは変わらず、店には『frontier』のCDを並べ。

雑誌コーナーには必ず、俺達が特集されている音楽雑誌を何冊も並べていた。

母も、よく嬉しそうにyourtubeの動画を眺めている。

家族が応援してくれるというのは、とても嬉しいことだ。

今でも時折、かつての…中学のときの同級生や、中2のときの担任のことを思い出す。

彼らは、俺が今『frontier』をやっていることを知っているのだろうか?

彼らが散々馬鹿にした音楽が、今では多くの人に認められ、喝采を浴びていることを。

だとしたら、どんなにか惨めな思いをしているだろう、と思う。

あんな馬鹿なこと、しなきゃ良かった。

そう思ってくれていたら良いのだが。

俺はただ、好きなことを、全力でやってきただけだ。

勿論、好きだけではやっていけないこともあるが。

例え下手くそでも、好きなことに夢中になって頑張っている人を、馬鹿にするなんて…そんな下らない真似は、するべきではない。

自分は心が貧しいと宣伝しているようなものだ。

音楽に性別なんて関係ないし、どんな音楽でも、それが誰かの心に届けば、誰かにとって救いになることもある。

音楽には、その力がある。

俺が辛くて堪らなかった日々の中で、音楽だけが心の支えになったように。

俺達が奏でる音楽が、いつか何処かで、誰かの心を少しでも慰めることが出来たなら…それだけで、価値がある。

そう思いながら、俺は今日も、自分の為に、仲間の為に…そして、顔も知らない誰かの為に、音を奏でるのである。


















END