Music of Frontier

どうしてこんな風になるのか、自分でも不思議だった。

だが、知らず知らずのうちに、心が限界を迎えていたのだろう。

俺は学校に行けなくなった。両親も、そうなってまで無理矢理俺を学校に連れていこうとはしなかった。

代わりに、学校で何があったのか話して欲しい、と言ってきた。

もう何もかも分かっている、という顔だった。

こうなれば、もう隠すことは出来なかった。

俺は学校で何が起きたのかを全部話した。

クラスメイトや、担任の先生から嫌がらせを受けていることを。

こんな話をしたら両親も驚くだろうと思ったら、二人共ある程度予測していたらしくて、淡々と聞いていた。

と言うより、驚きよりも先に、怒りの方が大きかったらしい。

そして、二人は怒りのエネルギーそのままに、仕事を休んで学校に乗り込んだ。

俺には、無理して来なくて良いと言ってくれたが、俺のいないところでこんな話をされたくなくて、俺もついていった。

まず応対してくれたのは学校の事務員さんだったのだが、これはただ事ではないと感じたのか、すぐに校長と学年主任を呼んできてくれた。

テレビなんかを観ると、こんなとき「うちの学校にいじめはありません」なんて白々しいことを言う校長が目立つが。

幸いなことに俺の通っていた中学校の校長は、そんなことはなく。

いじめの事実を否定せず、誠実に対応することを約束してくれた。

しかし、さすがに「担任教師からも嫌がらせを受けている」と言ったときは、目を丸くして驚いていた。

まさか、生徒を守るべき教員が、生徒と一緒になって子供じみた嫌がらせをしていたとは、思っていなかったのだろう。

俺から話を聞いて、校長はすぐに件の担任教師を呼んでくれた。

校長室に呼び出された担任教師は、俺と、憤慨した様子の俺の両親と、神妙な顔つきをした校長、学年主任の顔を交互に見て、「これは不味い」と思ったようだった。

顔を見ればそれが分かった。

校長が低い声で事情を説明すると、担任教師は慌てて否定し始めた。

曰く、本人は嫌がらせをしているつもりは全くなくて、ほんの冗談のつもりだったと。

皆笑っていたし、クラスも良い雰囲気になっていたから良いと思っていたと。

まさか本気にしているとは思っていなかったと。

大体、お前も笑っていたじゃないか。本当に嫌なんだったらそう言えば良いじゃないか。親に告げ口するなんて卑怯じゃないか。

こんなことを、一時間くらいかけて必死に言っていた。

呆れ果てて、俺は物が言えなかった。

冗談のつもり?

皆笑ってた?

本気にしてると思ってなかった?

俺も笑ってた?

告げ口なんて卑怯だ?

あんた、よくも俺の前でそんなことが言えたな。

そりゃ、あんたにとっては冗談のつもりだったんだろう。

でも、冗談じゃ済まされないようなことを、あんたは言ったんだよ。