Music of Frontier

中学二年生の秋頃から、俺は学校に行けなくなった。

俺は学校に行こうとしているのに、朝が来ると身体が重くて、頭が痛くて、どうしても外に出られないのだ。

なんとか無理をして家を出ようとすれば、玄関先で吐き気に襲われ、家の中にUターンしてしまう始末。

典型的な、不登校、という奴になった訳だ。

そうなった原因を作ったのが、二年生のときの担任。

この担任の先生は、まだ新任の男性教師で、科目担当は体育だった。

体育の先生が一般的にそうなのか、それとも俺の学校の体育教師だけが特別だったのかは知らないが、所謂熱血タイプな先生だった。

おまけに、まだ教師歴二年程度の若い先生で、大学生のノリが消えていなかった。

生徒が「宿題忘れました~(笑)」と言っても、叱るのではなく。

「仕方ない奴だな~今回だけだぞ(笑)」と言いながら、結局は毎回許してしまうし。

先生が個人的には応援している、プロ野球チームが勝った日の翌日には。

「昨日◯◯チームが勝ったから、記念に今日の授業は自習!」なんて言ったり。

逆に負けた日の翌日は、「昨日は◯◯チームが負けたから、今日の授業はマラソンにする!」なんて言って、生徒にブーイングされたりする。

まぁ、面白い先生と言えばそうなのだが。

ようは、陽キャには人気の先生だが、陰キャには嫌われるタイプの先生だった訳だ。こう言えば分かりやすいだろうか?

先生自身も、学生時代は陽キャの類だったらしく。

俺みたいな陰キャにしてみれば、少々無神経に感じることも多かった。

というのも、皆の前で結構平気で、嫌みなことを言ったり。

自分のお気に入りの陽キャな生徒だけを、贔屓したりしていたから。

割と地味めな女の子に対して、「お前は暗いな~。もっと明るくなれ」と笑いながら背中をパンパン叩いていたこともあるし。

クラス対抗のバレーボール大会では、二回戦で敗退した後、運動が苦手だった女の子に。

「負けたのはお前のせいだな(笑)」なんて、皆の前で冗談めかして言っていた。

逆に、自分のお気に入りの生徒が、髪を明るく染めて学校に来たとき。

校則違反を叱るどころか、「おいおい、他の先生にはバレないようにしろよ(笑)」なんて言って、軽く許していた。

さすがにこれは駄目だろう、と俺は思ったのだが。

大半のクラスメイトは笑っているので、先生も良い気になって。

むしろ「こういう面白いことを言えば、生徒に好かれる」と思っていたのか。

そのふざけた態度は、ますますエスカレートしていった。