Music of Frontier

あの頃は、確かに辛かった。

俺はただ、好きなことを全力でやりたかっただけなのに。

どうして、それを責められなければならなかったのだろうか。からかわれなければならなかったのだろうか。

からかうようなことか?それって。

そんな昔の話を、実はエルーシアには話したことがあるのだが、そのときエルーシアは憤慨していた。

「そいつらぶっ飛ばしに行ってくる!」と、何処に行こうとしていたのか、猪のように飛び出そうとするのを必死に止めたくらいだ。

当時、エルーシアみたいな子が一人でも同じクラスにいれば、俺の学生生活ももっと違っていただろうに。

クラスでは孤立していたが、でも、俺には音楽があった。

それだけは、未だにやめていなかった。

音楽をやめて、サッカー部にでも入れば、からかわれるようなことはなくなったのかもしれない。

でも、どうしてもそれだけは出来なかった。

俺から音楽を取り上げたら、何も残らないと分かっていたからだろう。

どんなに辛かろうと、俺は音楽をやめることは出来なかった。

俺にとって音楽は、魂に刻みついた生き甲斐だった。

やめる訳にはいかなかった。

むしろ、学校で孤立すればするほど、俺は音楽の世界に没頭していった。

最早、俺に残されているのはそれだけだった。

こうして俺は中学校でも孤立し、一人ぼっちで過ごすことになった。

中学校にもなれば、幼稚なからかいや嫌がらせはなかろうと思っていたが…。

大きくなったのは図体だけ、変わったのは制服だけで、中身は相変わらず小学生のまま。

あっという間に俺のあだ名は、またオカマだのニューハーフだのになった。

けれども小学校の頃と違って、中学校では色んな刺激的なことがあった。

俺に嫌がらせをするより楽しいことが、たくさん。

だからか、俺への嫌がらせも、小学校のときほどは酷くなかった。

その頃には俺もだいぶ慣れていたから、もう仕方がない、と諦めていた。

出来るだけ目立たないようにしていれば良い、と思っていた。

そうすれば、いずれクラスメイトも俺への興味を失って、嫌がらせをするのもやめてしまうだろう、と。

けれども、そんなことにはならなかった。

またしても俺にとって不運なことに、中学二年生になった頃、新しい担任の先生がうちのクラスにやって来た。

俺が学校に行けなくなったのは、この先生が原因だった。