Music of Frontier

まさか、音楽部に女の子しかいないとは思っていなかった俺は、面食らった。

そりゃ、女子の方が多いだろうとは思っていたが…まさか一人も男子がいないとは。

もしかしたら、俺が在学していた期間だけ、偶然運悪く、男子部員がいなかっただけなのかもしれないが。

とにかく、俺は部活でも一人ぼっちだった。

変な意味じゃなくて、普通に友達として仲良くなりたくて、何度か女の子達にも話しかけてみたこともあるのだが。

女の子達は、女子特有のグループみたいなものを形成していて、他人が、ましてや男が入り込む余地は全くなかった。

話しかけても、無視こそされなかったが、露骨に迷惑そうな顔はされた。

そんな顔をされてまで、ずけずけと話しかけに行くほど、無神経ではいられなかった。

かくして、同じ部活で友達を作るという俺の目標は、最初の一月で綺麗さっぱり潰えてしまった訳だ。

部活が駄目なら同じクラスで、とも思った。

クラスの中には当然男子生徒もいるし、別の小学校だった生徒もたくさんいるから、気の合う子が一人二人いるかもしれない、と。

でも、結局は駄目だった。

色んな不運が重なった…と言うべきか。

まず、小学校のとき、俺に嫌がらせしたり、からかったりしていた筆頭格の男子生徒が、中学校に入っても同じクラスだった。

それに加えて、クラスメイトは俺が音楽部唯一の男子生徒であることを知っていた。

他の男子生徒は、大半が運動部に所属していて、文化部に、しかも音楽部なんて女の子の部活に入るなんて、そりゃ目立って当然だ。

例の筆頭格だった男子生徒が、笑いながら皆の前で「こいつオカマなんだぜ」と茶化したせいで、その日からクラスの中での俺のポジションが決まってしまった。

こうして、俺は中学校に入学早々、「オカマ」だの「ニューハーフ」だの、差別意識も甚だしい、陳腐な罵倒を受ける羽目になった。

そして、こういうことは一度浸透してしまうと、消すのは難しい。

クラスには俺を庇ってくれる人もおらず、俺は中学校に入っても、また孤立することになった。