Music of Frontier

俺はそれまで、小学校でそんな扱いを受けていたこともあって、友達と呼べる人がいなかった。

強いて言うならピアノが友達という、割と悲しい子供だった。

ピアノに熱中するのは楽しかったから、友達がいなくてもそんなに辛い訳じゃなかったものの…。

やっぱり、俺だってごく普通の子供だったから。

友達いたら楽しいだろうな、と朧気ながらにも思っていた。

自分と話が合って、価値観も一致していて、無視されたりからかわれる心配のない友達。

いたら楽しいだろう、きっと。

ピアノは友達だが、でもピアノは喋ってくれる訳じゃない。

四六時中、学校でも一緒にいてくれる訳じゃない。

だから、やっぱり血の通った友達が欲しい。

小学校では友達は出来なかったが、しかし小学校を卒業すれば、中学校に入れば、きっと友達が出来る。

中学校になれば皆大人びてきて、音楽の授業で本気を出したくらいでからかったり、無視したりはしないだろうと。

根拠はないが、そう期待していた。

それに、中学校に入れば部活が始まる。

これは純粋に楽しみだった。

陸上部、サッカー部、野球部、茶道部や将棋部…色々あったが、俺が入りたかったのは、何と言っても音楽部だった。

迷う必要すらなかった。

部活に入れば、きっと同じ価値観を持つ友達が出来る。そう思っていた。

しかし。

俺の思惑とは裏腹に、俺は中学校に入っても、やっぱり友達は出来なかった。

あてにしていた音楽部にも、入りはしたのだが。

新入部員も、先輩達も含めて、女子生徒しかいなかったのである。

これは、学校によってかなり差があると思うが。

俺の通っていた中学校は、音楽部は「女子生徒が入るもの」だった。

別に男子生徒は入っちゃいけないなんて規則はなくて、俺が入部届けを出したら、問題なく受理された。

しかし、当時音楽部には女子生徒しかおらず。

その中でたった一人、男であった俺は、物凄く浮いた存在だった。

一人だけ男だったら、むしろ先輩達に可愛がってもらえるんじゃないか、と思われるかもしれないが。

全然そんなことはなくて、先輩達も、「何でこの子、音楽部に来たんだろう…?」と言わんばかりに、俺を遠目に見ていた。

新入部員達も何人かいたが、その子は当然皆女の子で。

部活ではいつも女の子同士で固まり、たった一人の男である俺は、入り込む隙がなかった。

そもそも、中学生くらいの多感な時期に、男が一人だけ女の子の集団の中に入るというのは…。

言葉だけでは分かりにくいかもしれないが、想像以上に大変なものがある。