午後のお仕事が始まる前に、俺は月一の定期検診の為、エインリー先生のもとを訪ねた。
この病院も…すっかり慣れたものだ。
もうここのお世話になるのはやめよう…なんて、よく思っていたが。
今では、そうは思わない。
別にお世話になったって良いじゃないか。お世話になりながらでも、前に進めるのなら。
「うんうん。良い感じだよルトリア君」
「本当ですか?」
診察室で、エインリー先生はいつものほっこりする笑みを浮かべて、カルテをさらさら書いていた。
「来月からは、もう二か月に一回顔を見せてくれれば良いよ」
なんと。
これは嬉しい。ルクシーに要報告だな。
「不安なようなら、月一で来てくれても良いけど」
「はい。でも大丈夫です」
「そっかぁ。…しっかりしてきたねぇ。なんだか子供が巣立っていくようだよ」
エインリー先生は、ずずっ、と鼻を啜った。
え、ちょ。
「最初に君を見たときは、この子はもう一生社会復帰出来ないんじゃないかと思うくらいだったのに…。今やyourtubeで若者に大人気の有名アーティストだもんね。ルクシー君との絆の力が、ここまで君を回復させたのかと思うと…」
「ちょ、エインリー先生…。泣かないでくださいって」
「ご、ごめんね。ちょっと感動しちゃって」
だ、大丈夫だろうか?
エインリー先生は、ティッシュをしゅっしゅっと何枚か取って、鼻を噛んでいた。
大袈裟な…と言いたいところだが、それだけ俺が心配をかけたってことだから、俺に大袈裟だなんて言う資格はない。
「覚えてる?君が立ち直ったきっかけ…。ルクシー君のお手紙」
「勿論、覚えてますよ」
俺を、こちら側の世界に引き戻してくれた、大切な宝物。
今でも、大事に取ってある。
ルクシーは、「まだそんなもの持ってたのか」なんて呆れていたが。
とか言いながら、ルクシーだって俺からもらった手紙、全部取ってあるの知ってるんだからな?
「あの手紙を見てね、医学の力なんて、絆の力の前には無力だな~と思ったよ。君達の関係は、本当に素敵だね」
「…ありがとうございます」
でも、ルクシーとの絆の力だけじゃ、俺はここまで立ち直れなかったと思う。
エインリー先生が、辛抱強く俺を支えてくれたからこそ。
俺は、今ここにいられるのだ。
「君達に出会えたのは、私にとっても…」
「はい?」
「いや、何でもない。それよりもうすぐライブツアーだね」
…え。
「知ってたんですね」
そういえば、エインリー先生、動画とか観てくれてるんだったね。
忙しいだろうに、ありがとうございます。
「知ってるも何も、私もチケット取ったからね」
…嘘。
「そ、そうなんですか?」
「うん」
エインリー先生は、ほくほくとデスクの引き出しからチケットを出して見せてくれた。
そんなところに入れて…。
「ルトリア君は患者の一人ではあるけど、同時に私はルトリア君のファンでもあるからね。『frontier』のライブ、私も見に行くよ。頑張ってね」
「はい…ありがとうございます」
姉さんも来るし、エインリー先生まで来るとは。
これは、なお気を引き締めなければ。
この病院も…すっかり慣れたものだ。
もうここのお世話になるのはやめよう…なんて、よく思っていたが。
今では、そうは思わない。
別にお世話になったって良いじゃないか。お世話になりながらでも、前に進めるのなら。
「うんうん。良い感じだよルトリア君」
「本当ですか?」
診察室で、エインリー先生はいつものほっこりする笑みを浮かべて、カルテをさらさら書いていた。
「来月からは、もう二か月に一回顔を見せてくれれば良いよ」
なんと。
これは嬉しい。ルクシーに要報告だな。
「不安なようなら、月一で来てくれても良いけど」
「はい。でも大丈夫です」
「そっかぁ。…しっかりしてきたねぇ。なんだか子供が巣立っていくようだよ」
エインリー先生は、ずずっ、と鼻を啜った。
え、ちょ。
「最初に君を見たときは、この子はもう一生社会復帰出来ないんじゃないかと思うくらいだったのに…。今やyourtubeで若者に大人気の有名アーティストだもんね。ルクシー君との絆の力が、ここまで君を回復させたのかと思うと…」
「ちょ、エインリー先生…。泣かないでくださいって」
「ご、ごめんね。ちょっと感動しちゃって」
だ、大丈夫だろうか?
エインリー先生は、ティッシュをしゅっしゅっと何枚か取って、鼻を噛んでいた。
大袈裟な…と言いたいところだが、それだけ俺が心配をかけたってことだから、俺に大袈裟だなんて言う資格はない。
「覚えてる?君が立ち直ったきっかけ…。ルクシー君のお手紙」
「勿論、覚えてますよ」
俺を、こちら側の世界に引き戻してくれた、大切な宝物。
今でも、大事に取ってある。
ルクシーは、「まだそんなもの持ってたのか」なんて呆れていたが。
とか言いながら、ルクシーだって俺からもらった手紙、全部取ってあるの知ってるんだからな?
「あの手紙を見てね、医学の力なんて、絆の力の前には無力だな~と思ったよ。君達の関係は、本当に素敵だね」
「…ありがとうございます」
でも、ルクシーとの絆の力だけじゃ、俺はここまで立ち直れなかったと思う。
エインリー先生が、辛抱強く俺を支えてくれたからこそ。
俺は、今ここにいられるのだ。
「君達に出会えたのは、私にとっても…」
「はい?」
「いや、何でもない。それよりもうすぐライブツアーだね」
…え。
「知ってたんですね」
そういえば、エインリー先生、動画とか観てくれてるんだったね。
忙しいだろうに、ありがとうございます。
「知ってるも何も、私もチケット取ったからね」
…嘘。
「そ、そうなんですか?」
「うん」
エインリー先生は、ほくほくとデスクの引き出しからチケットを出して見せてくれた。
そんなところに入れて…。
「ルトリア君は患者の一人ではあるけど、同時に私はルトリア君のファンでもあるからね。『frontier』のライブ、私も見に行くよ。頑張ってね」
「はい…ありがとうございます」
姉さんも来るし、エインリー先生まで来るとは。
これは、なお気を引き締めなければ。


