Music of Frontier

皆さん、覚えておいでだろうか。

俺に、姉がいたことを。

昔はそれなりに仲が良かったし、家族の中で一番好きなのは、間違いなく姉だった。

…昔は、な。

第二帝国騎士官学校をクビにされてからというもの、姉とは仲違いしたままだった。

例の帝国騎士団慰労会ライブの後、一度姉の方から接触してきたが…結局決別。

もう二度と会うことはあるまいと思っていた姉が、何で?

「以前も…訪ねてきたわよね、あの人…。どうしましょうか。帰ってもらう?」

「…」

「…無理して会うことはないわ」

ルクシーのお母様は、優しく俺にそう言ってくれた。

そして、ルクシーも。

「そうだ。何しに来たのかは知らないが…会わない方が良い。今更…」

…本当、今更…だよなぁ。

姉が何しに来たのかは、大体分かる。

多分…エミスキーやラトベルが訪ねてきたのと、同じ理由だ。

ルクシー親子が言うように、突っぱねても良かった。

あんたになんか会いたくない。もう家族じゃないんだから。帰れ。

そう言うのは簡単だ。

しかし。

「…良いですよ。会いますよ」

「…!ルトリア、本気か?」

「本気です」

多分…会えるまで、しつこく訪ねてくるだろう。

そういう人だ。

今断れば、きっと事務所の方に来るだろう。

事務所に会いに来られたら、色んな人に迷惑をかける。

なら、今会っておいた方がましだ。

「…分かった。俺も同席しようか?」

俺を一人にするのが余程不安なのか、ルクシーはそう申し出た。

前、姉が訪ねてきたとき…傍にいてやれなかったことを、ルクシーなりに後悔しているのかもしれない。

少し前の俺なら、「いえ、一人で大丈夫です」と言っていたのだろうけど。

強がることは、強さではない。

今は、それを知っている。

それに、ルクシーは俺の家族も同然なのだから。

「…じゃあ、一緒に来てくれますか?」

「あぁ。行くよ」

ありがとう。

ルクシーが一緒にいてくれるのなら、何が起きても安心だ。