Music of Frontier

その日は、午前遅くからお仕事が入っていた。

というのも、昨夜は深夜遅くまで、yourtubeでライブ配信をしていたのである。

さすがに疲れたので、お家に帰るなり、俺とルクシーはベッドに直行であった。

数時間ほど眠ったら、今度は撮影のお仕事が待っている。

さすがに目の下に隈作ったまま、雑誌のページに載る訳にはいかないので、ちゃんと寝るつもりである。

それなのに。

俺が眠りについて二時間ほどで、またしてもルクシーのお母さんが、申し訳なさそうな顔をして俺を起こしに来た。






「ルトリア君、ルトリア君起きて」

「うーん…。ルクシー…。無理です、お肉はもう無理…」

「何の夢を見てるの?ルトリア君、寝てるところ悪いんだけど起きて」

「んん…?」

微睡みの中から目を覚ますと、そこにはルクシーのお母さんがいた。

あれ…。俺、何か夢を見ていたような…。何だったかな。

いや、それより。

「どうしたんですか…?こんな時間に…」

こんな時間って、思わず口走ったけれども。

朝だよ。今。

本来なら寝ている時間ではない。

「よく寝てるところ、ごめんなさいね。あなたにまたお客様が来てて」

「客…?」

「帝国騎士団の制服を着た人達が来てるの」

「…」

…何だと?

俺はゾンビのように、むくりとベッドから起き上がった。

「あなたに会いに来たって…」

「また来たんですか…」

あれだけ、散々、一週間以上かけて事情聴取してきた癖に。

まだ聞きたいことがあると?

まさか、また連れていくつもりじゃあるまいな。

今度は断るぞ。もう。

「どうする?帰ってもらいましょうか?」

「いや…良いですよ。会いますよ」

さすがに連れていかれては困るが、会って話すくらいならしてやる。

今寝てるんだから帰れなんて言えば、今度は令状持って来かねない。

眠くて仕方がないが…帝国騎士の前で寝落ちしてしまいそう。

のろのろと服を着替え、杖をついて、応接間に向かうと。

そこに待っていたのは、確かに帝国騎士だった。

けれどその人達は、俺のよく知る人物だった。

「…はぁ?」

その顔を見て、俺は思わずそう言ってしまった。