Music of Frontier

…ちなみに、その夜。

俺達は、エルーシアに頼まれた通りに、皆で焼き肉食べ放題に行った。

ベーシュさんは容赦なく、一番高いお酒飲み放題付きプレミアコースを注文したし。

エルーシアは、「別料金だからな!」とか言って、バニラとチョコレートアイスの盛り合わせを頼んでいた。

更に。

「おいルトリア、お前取り調べ生活でまた痩せただろ。キャベツばっか食ってないで肉を食え、肉を」

「食べてますよ…。そんなポイポイ肉を突っ込まないでください」

ルクシーは俺の保護者のように、俺の皿にポイポイ肉を放り込んできた。

俺に食べさせるばかりで、ルクシーこそ食べてないんじゃないか?

「そうだよルトリア。折角の食べ放題なんだから、思う存分食べないと…。…あ、店員さん、大盛りカルビと大盛りロース、三皿ずつ追加で。それとビール、ジョッキで四杯お願い」

ベーシュさん、まだまだ加速していく。

俺の…五倍くらいは食べてません?ベーシュさん…。

とても清々しい。

「また皆でこうして焼き肉食べに来れて、本当に良かったよ」

ミヤノも、嬉しそうに箸を動かしていた。

俺…本当に皆に心配かけてたんだなって。

「…ごめんなさい、皆さん。俺、また明日から頑張るので…」

「もう良いから、謝るなよ。お前が悪い訳じゃない」

「そうだそうだ!ルトリーヌはなーんも悪くないんだから」

皆優しいから、そう言ってくれるけど。

「でも…俺のせいで、皆…」

「良いから、もう気にしないで。私達も気にしてないから」

「そうだぞルトリア。お前、今度謝ったら、さっきベーシュが頼んだ大盛りカルビ、一皿丸ごと食わせるからな」

虐待じゃないですか。

人には…人にはそれぞれ、胃のキャパシティというものが…。

「…分かりましたよ。そんな訳ですから皆さん、これからも宜しくお願いします」

「あぁ、こちらこそ。…ルトリアがいない『frontier』なんて、もう考えられないからな」

ありがとう。

俺も、もう『frontier』がない人生なんて、考えられないよ。

…このメンバーで、良かった。

色々辛いこと、乗り越えなきゃならないこと、たくさんあった。

死にたいと思ったことも、数え切れないほどある。

でも、今日まで生きていて良かった。

今は、心からそう思う。