Music of Frontier

「ルクシーヌ~っ!!」

「うわっ…!?」

お客様がいらしてますよ、とエルフリィ家の使用人に呼ばれ。

応接間に来てみたら、これだ。

半泣きのエルーシアが、俺の肩をガシッ、と掴んできた。

ちょ、何なんだ。

「ルクシーヌ!ルクシーヌだ!本物か!」

「本物かって…そりゃ本物だろ…?」

「うぉぉぉ!生きていたのかルクシーヌ!また会えて嬉しいぜ!」

…生きていたのかって…五日くらい会わなかっただけだぞ?

大袈裟にもほどがある。

「皆、ごめん…。心配かけて。今日からはまた通常運転に戻れるから…」

…と、言っても…ルトリアがいないから、俺一人だけ通常運転に戻っても仕方ないのだが…。

ボーカルがいないと何も始まらない。

「お疲れ様、ルクシー。元気そうで良かったよ」

ミヤノは、心底ホッとしたようにそう言った。

そりゃまぁ…俺は別に何ともないが。

「ルクシー…。ルトリアは?ルトリアは一緒じゃないの」

ベーシュがそう尋ねてきた。

…そうだな。それが心配だろうな。

この場にいないのは、ルトリアだけなのだから。

「あぁ…。ルトリアはもう少しかかるらしい」

「そう…」

「何で?何でルトリーヌが犯人みたいな扱い受けなきゃならない訳?」

ルトリアが犯人って…。

「エル…。それって」

「テレビで毎日報道してるあのニュース…ルトリアのことなんでしょ?」

ベーシュは、はっきりとそう尋ねた。

…随分ストレートだな。ベーシュらしいと言えばベーシュらしいが。

「…本人には、言わないでやってくれな」

「うん」

「あと…変に気を遣ってやらないでくれ」

そんなことされたら、ルトリアは気にするだろうから。

「そっか…。やっぱりそうなんだ」

「ルトリア…。今、辛いだろうな。一人で…」

「大丈夫なのかよー…。良いじゃん、取り調べなんかどうでも…早く帰ってこいよ」

…本当になぁ。俺もそう思う。