Music of Frontier

俺は、ありのままの真実を全て話した。

第二帝国騎士官学校に入学した当初から、ルームメイトの先輩達にいじめを受けていたこと。

そこから根も葉もないカンニング疑惑をかけられ、クラスメイトからも敬遠されるようになったこと。

そのせいで、事件が起きたときには既に、俺は学校で孤立した状態にあったこと。

いつも一人ぼっちで、味方がいなかった俺に、「こいつなら断らないだろう」と目をつけられ、本来教員達がやらなければならなかった学校行事の準備に駆り出されたこと。

その準備の途中で、整備不良だった脚立に乗り、それが倒れて、脚立や重いデスクや、展示パネルの下敷きになったこと。

そして、下敷きになったまま、すぐには助けを呼ばれず、長い時間放置されたこと。

その間、地獄のような痛みを味わったこと。

ようやく病院に運び込まれたときには、もう俺の左足は使い物にならなくなっていたこと。

リハビリを乗り越えて、今は杖があれば歩けるし、杖なしでも短い時間なら歩くことが出来るようになったが…。

そして、目が覚めたとき、学園の理事長やその他の教員達がいて、そこで交渉を持ちかけられたこと。

今回の事件を、なかったことにしてくれと頼まれたこと。

多額の慰謝料兼口止め料と引き換えに、事件の一切合切を他言しないよう約束させられたこと。

そして、当の俺は、入学試験時に不正行為を行ったことが発覚したとして、無実の罪をでっち上げられ、そのまま退学処分になったこと。

退学処分にされたことを理由に、実家のマグノリア家からも追放され、貴族としての権利を全て剥奪されたこと。

それから、俺がどのように過ごしたかについては…事件とは直接関係ないが、それも一応話した。

その後二年間は、精神を病み、病院に入院していたこと。

最初の頃は面会謝絶状態で、正直俺も記憶があまりないのだが。

入院中、古くからの友人だけが何度も見舞いに来てくれて、その友人…つまりルクシーのことだが、ルクシーが入っていたバンドに、俺も入れてもらったこと。

そこからはずっと、『frontier』としての活動を生き甲斐にして、日々を過ごしてきたこと…。