Music of Frontier

「…全てを偽らず、正直に真実だけを話して欲しい」

「…はい」

俺も、そのつもりである。

こうなった以上、もう嘘で取り繕っても仕方無い。

元々…俺は嘘なんて何もついてないのだから。

「…報道されている内容については、君も聞いているな?」

「…えぇ」

「では、単刀直入に聞こう…あれは、真実なのか?」

「…」

…覚悟を決めたとはいえ。

これに頷くには、かなりの勇気が必要だった。

すると、俺がためらっているのを察してか、三番隊隊長さんが、

「別に奴らを庇う必要はねぇぞ。お前がそれなりの口止め料をもらったことも知ってるが、それはそれだ。別に今から取り上げようとはしない」

「…」

…庇っている訳でも、口止め料が惜しい訳でもないのだが。

「…庇ってるつもりはありません。でも…報道されていることは、紛れもなく真実です」

「…そうか」

帝国騎士団長は、溜め息混じりに天を仰いだ。

「学校の不祥事を隠蔽し、あまつさえ生徒を無実の罪で追放するとは…。やることが卑劣極まりないな」

「…お前が言うと、異様に白々しく聞こえるな」

三番隊隊長さんは、ジトッ、と騎士団長を睨んだ。

…?

「ともかく、これは由々しき事態だ。詳しく教えてくれないか?八年前、何があったのかを」

「…そうですね」

「貴殿にとっては思い出したくない過去だろうが…」

「大丈夫ですよ、別に…」

「…では、聞こうか」

…八年前の事件について話すのなら。

まずは…それより前のことから話さなければなるまい。

「長い話になりますが…」

「構わない。ゆっくり話してくれ」

この話をすることは、俺にとって、古い傷を抉り返すようなものだ。

けれど、もう話さない訳にはいかなかった。