Music of Frontier

「…」

…それにしても。

…皮肉な話だよな。

帝国騎士になることが叶わなくなった時点で、俺がこの建物に足を踏み入れることは永遠にないと思っていたのに。

同じ建物の中に…姉もいるんだろうな。

姉はもう、世間を賑わせているあの事件の被害者が俺であることを知っているんだろうな。

今、姉はどんな気持ちなんだろう。

知りたいようで…知らない方が良い気がする。

すると。

「待たせたな」

「あ…はい…」

応接間の中に、真っ白な制服を着た青年が二人、入ってきた。

この人達…帝国騎士なんだよな?

帝国騎士の…どういう立場の人なのかは分からないが。

そう思っていると、向こうから教えてくれた。

「帝国騎士団の規則で、一般人相手に名乗ることは出来ないんだが…一応、俺は帝国騎士団長だ」

「あ…そうなんですか…」

…え?

今、さらっと凄いこと言わなかった?

…本当に、この人が騎士団長?

俺は思わず、目の前の青年をまじまじと見つめてしまった。

すると、向こうも同じくらいこちらをじーっと見つめていた。

…ベーシュさん並みに表情に乏しい人だな。

帝国騎士団長っていうのは…もっとこう、筋骨隆々とした…屈強な巨漢だとばかり…。

普通に丹精な男性じゃないか。

本当に帝国騎士団長なんだろうか…?でも、嘘をつく理由はないはずだし…。

…もしかして…冗談、ってことはないよな?

この人、真顔で冗談とか言いそうなタイプだから…。

そして、もう一人の男性も、

「俺も名乗ることは出来ないが、三番隊の隊長だ」

と、教えてくれた。

…三番隊?

と言ったら…帝国騎士団で三番目に強い人ってことじゃないか。

この人も普通の青年にしか見えないが、隊長なのか。

本当に?

まさか俺ごときの事情聴取に隊長クラスが出てくるなんて。

精々、平騎士よりはちょっと偉い立場の人が出てくるくらいだとばかり。

副隊長クラスが出てきたら凄いな、と思ってたくらいなのに。

これは…俺が思っているよりずっと、帝国騎士団はこの事態を重く受け止めていると考えて良いかもしれない。