Music of Frontier

俺の将来を劇的に変えることになる出来事が起きたのは、俺が四年生…高校1年生の頃だった。

その頃には、俺はすっかり心を閉ざし、自分の殻に閉じ籠るようになっていた。

そうすることで、自分を守っていたのだ。

いや…そうすることでしか、自分を守れなかった。

俺は学校でも、寮でも、家でも…一人ぼっちだったから。

唯一、ルクシーだけは俺を見捨てないでいてくれたけど。

彼は元々長期休暇のときにしか会えなかったし、彼はうちの両親に嫌われていたから、長期休暇のとにもそう頻繁に会うことは出来なかった。

その頃の俺の成績は、酷いものだった。

元々カンニング疑惑のせいで、どんなにテストの点数が良くても成績は低かったけど。

最近の俺はテストの点数も酷く、成績表の評価とテストの点数が釣り合うようになっていた。

こんなぼろぼろの精神状態で、まともに勉強出来る人がいると思うか?

かろうじて進級しているといった有り様だった。

そのせいで姉も、両親も、すっかり俺に失望してしまった。

期待されるのも鬱陶しかったから、別に良いけど。

クラスメイトは相変わらず、俺を陰から指差してひそひそ話すだけ。

視線を合わせることもないし、エミスキーもラトベルもイーリアも、すっかり俺のことは過去の人間にしてしまったようで。

今では少しも後ろめたいこともないらしく、他のクラスメイトと一緒になってひそひそと俺の陰口を言う始末。

もう放っておいて欲しかった。そんなに俺のことが気に入らないなら、空気のように扱ってくれれば良い。

それなのに、寮の先輩達だけは…以前にも増して、俺を構いたくて堪らないようで。

最近では、暴力も常態化してきていた。

来るところまで来たな、という感じだ。

そりゃそうだ。止める人間が誰もいないのだから、いじめは酷くなるしかない。

俺は窓の外を見ながら、「ここから飛び降りたら、楽になれるだろうか」と考えるようにまでなっていた。

もうその方が良いような気もしていた。

正直、ルクシーがいなかったら多分…本当にそうしていただろう。

俺がいなくなったらルクシーが悲しむかもしれない。

それだけの理由で、俺はこの世に留まっていた。

ルクシーの存在だけが、俺を生かしていた。

それと、もう一つ。

俺をいじめている先輩は、一つ年上の先輩と、二つ年上の先輩だ。

従って、あと一年我慢すれば、二つ年上の先輩は卒業する。

あと一年すれば、この部屋に新入生が入ってくる。

そうすれば…少しは、この状況も改善されるかもしれない。

その期待が、俺を生かしていた。ギリギリのところで、俺はまだ生きていた。

辛かったけど、苦しかったけどまだ生きていた。

毎日毎日、指折り数えるようにしながら。

もう少し、あと少ししたら楽になる。

それまで我慢すれば良い。俺にはルクシーがいる。ルクシーが、心の支えになってくれている限りは大丈夫…。

自分に、そう言い聞かせながら生きていた。









でも、それもあの事件が起こるまでのことだった。