Music of Frontier

その日のお仕事は、とあるイベントのゲストとして、トークショーに出演するというもの。

まぁ、『frontier』には比較的よくあるお仕事だった。

トークショーで五人が揃ってわちゃわちゃ…喋っても良いのだが、やっぱりトークショーだと多くても二~三人くらいが限度かなということで。

今日は、俺とベーシュさんが呼ばれた次第である。

トークは苦手ではあるものの、ラジオで鍛えられているので、特に問題はなくトークショーは終わった。




「…さてと。お仕事も終わりましたし、ベーシュさん、これからどうします?」

いつもはスケジュールが割とぎっしり詰まっているのだが。

今日のお仕事は、このトークショーだけで終わり。

つまり、この後はフリーなのだ。

俺は折角だから、この後もイベントを楽しんでいくつもりだ。

屋台とか色々出てるし。りんご飴食べたい。

ベーシュさんはどうするだろう?

「ルトリアはどうするの?帰るの?」

「いえ、折角だからちょっと楽しんでいこうかなと」

「そう。じゃあ私もそうする。一緒についていって良い?」

「そうですか。勿論良いですよ」

俺達二人が並んで歩いてたら、変装してても「あっ!『frontier』の人だ!」ってバレるかもな。

特にベーシュさんは、美しさの波動が滲み出ている人だし。

でもまぁ、さっきまでトークショーに出ていたんだから、イベント会場をうろついていても不自然ではなかろう。

サングラスくらいはかけておこうかな。一応。

「じゃあ、屋台でも見て回りましょうか?」

「うん。さっき射的の出店見つけたの。やりたい」

…え?射的?

別に良いけど…ベーシュさん、射的超上手そうだね。

案の定、その後披露してくれたベーシュさんの射的の腕前は。

射的屋のおじさんが、「もう勘弁してくれ」と言うほど恐ろしいものだった。