Music of Frontier

「アイズ…。どうした?」

「良かった、いたね…。ルレイアもいたんだね、やっぱり」

「俺はいつでもルルシーの隣にいますよ~。…実はルルシーが気づいてないときも、ルルシーの傍にいますよ」

マジで?

え?ゾッとしたんだけど。今。

冗談だよな?冗談ということにしておこう。

「そっか…。うん、実はルルシーに話があったんだけど…これ」

アイズは、ルレイアに見えないように、手にしていた資料を渡した。

そこに書かれていた文字に、俺はハッとした。

「…ルレイア。お前ちょっと…外に出てろ」

「え~?何でですか?」

これは…ルレイアには、見せない方が良い。

「良いから。出てろ」

「二人で内緒話ですか?俺も知りたいですよぅ」

「アシュトーリアさんから、秘密裏の勅命なんだよ。情報を漏らす訳にはいかない」

ルレイアを引き下がらせる為に、俺はそう嘘をついた。

しかし、こんなその場しのぎの嘘が、ルレイアに通用するはずがなかった。

「はぁ~ん、成程。ルルシーがそんな苦し紛れの嘘をつくということは、帝国騎士官学校絡みですね?」

「…ぐっ…」

ルレイアの、こういうところだけは。

未だに、勝てる気がしない。

「良いですよ?別に教えてくれなくても。自分で調べますから。ルリシヤにも協力してもらおっと。ついでに、ルルシーが自宅で寝てるときどんな寝言を言ってるかも、二人で調べますから」

やりかねん、と想った。

『青薔薇連合会』の変態代表が二人で結託すれば、夜中に俺の部屋にこっそりと忍び込み、ベッドに録音機器をセットするくらい…軽くやってみせるだろう。

ルレイア一人だけでも充分脅威なのに、そのルレイアに匹敵するだけの能力を持ったルリシヤが組めば…調べられないことはなかろう。

「…仕方ないね、ルルシー。ルレイアにも聞かせてあげようよ」

アイズは早々に諦め、俺にそう勧めた。

…そうだな。もうそうするしかあるまい。

寝言を聞かれたくなければ。