Music of Frontier

「…俺のことを、どう罵ってくれても結構だがな」

だから、俺は静かにそう言った。

我ながら大人げないと思うが、こればかりはどうにも譲れなかった。

「あんたにはもう、ルトリアに口を出す資格はない。ルトリアがどんな人生を歩もうと、それはルトリアの自由だ。これ以上、ルトリアの人生に関わってくれるな」

『…!何を生意気な…』

あぁ、確かに生意気だ。生意気だけど、これだけはっきり言わなきゃ伝わらないからな。

「今度ルトリアを煩わせたら、本当に警察沙汰にするからな。覚えとけよ」

向こうはまだ何かを言おうとしたが、俺はそれだけ言って、俺はぶちっ、と通話を切った。

「…あ、ごめん…。切っちゃった」

ルトリア、まだ話したいことあったかも。

「いえ…別に良いですけど。ルクシー、最後の一言めちゃくちゃ格好良かったですね」

「そうか…?」

何が?何処?覚えとけよのとこ?

「胸がスッとしました。ありがとうございます」

「…完全に決別したな、これで」

もうこれで、完全にルトリアは両親と決別した。

ここまで拗れてしまった以上、もう土下座で謝っても許してはくれまいな。

この年で、親と決別するというのがどういう気分なのか…。俺には想像するとしか出来ない。

でも。

「…良いですよ、もう。仕方ないですよ」

ルトリアは、諦めたようにそう言った。

「元々親子の絆なんてなかったんですから。そういう親じゃありません。俺ももう分かってます」

「…そうか…」

「だから、気にしないでください。…これで良かったんですよ」

「…」

…ルトリアが、本心でそう言っているのかは分からない。

そう…納得しようとしているだけなのかもしれない。

親に恵まれた俺には、ルトリアの気持ちに、完全に寄り添ってやることは出来ないけど。

…せめて、傍にいてあげようと思った。

ほんの少しでも、ルトリアの重荷を肩代わりしてやれるように。