─────…俺は、ルトリアの母親と顔を会わせたことはほとんどない。
向こうが、俺に会いたがらなかったからだ。
初めてルトリアの両親と会い、俺が挨拶をしたとき、ルトリアの両親は俺のことを、薄汚い浮浪児でも見るような目で見た。
実際、彼らにとって俺はそんな存在だったのだろう。
ルトリアの両親は、自分の息子が俺のような下流貴族の子供と仲良くすることを好まなかった。
マグノリア家の息子に相応しくないと思っていたのだ。
ルトリアは俺には何も言わないが、恐らく両親から何度も、「あいつとは仲良くするな」と言われていたはずだ。
ルトリアの両親が俺を心底嫌っているのは明らかだったし、別に好かれようとは思っていないから、俺のことを嫌いたいなら好きにすれば良い。
俺のことをいかように悪く言ってくれて結構。
けれど、今更ルトリアの人生に口を出してきて、「恥さらし」と罵ることは許せなかった。
ルトリアから、両親に連絡されていることを聞いて、俺は激怒した。
ルトリアに怒ってもしょうがないから、あまり口には出さなかったが。
俺は心底腹が立っていた。
ルトリアが帝国騎士官学校を退学にされたとき、彼らはルトリアを守りもせず、退学にされた馬鹿な息子はもう用なしだとばかりに、ルトリアを家から追い出した。
その後ルトリアが二年間入院していたときも、一度だって見舞いに来なかった。
そもそも入院していたことさえ知らなかったんじゃないだろうか。
それだけでも腹立たしいというのに、ようやくルトリアが新しい人生を見つけ、立ち直って、自分の道を歩き出したところで、今頃連絡を寄越して。
あまつさえ、「マグノリア家の恥さらし」だって?
「アイドルなんてやめろ」だって?
自分からルトリアを捨てておきながら、何故今頃になって口を挟んでくるのだ。
ルトリアを捨てたあいつらに、そんなことをする権利はない。
もう放っておくつもりじゃなかったのか。ルトリアがどうなったって知らないと思ったから、捨てたんじゃなかったのか。
親らしいことなんて何一つしてこなかった癖に、子供に指図するときだけは親の顔をするのか。
そんな卑怯な真似が許されてなるものか。
向こうが、俺に会いたがらなかったからだ。
初めてルトリアの両親と会い、俺が挨拶をしたとき、ルトリアの両親は俺のことを、薄汚い浮浪児でも見るような目で見た。
実際、彼らにとって俺はそんな存在だったのだろう。
ルトリアの両親は、自分の息子が俺のような下流貴族の子供と仲良くすることを好まなかった。
マグノリア家の息子に相応しくないと思っていたのだ。
ルトリアは俺には何も言わないが、恐らく両親から何度も、「あいつとは仲良くするな」と言われていたはずだ。
ルトリアの両親が俺を心底嫌っているのは明らかだったし、別に好かれようとは思っていないから、俺のことを嫌いたいなら好きにすれば良い。
俺のことをいかように悪く言ってくれて結構。
けれど、今更ルトリアの人生に口を出してきて、「恥さらし」と罵ることは許せなかった。
ルトリアから、両親に連絡されていることを聞いて、俺は激怒した。
ルトリアに怒ってもしょうがないから、あまり口には出さなかったが。
俺は心底腹が立っていた。
ルトリアが帝国騎士官学校を退学にされたとき、彼らはルトリアを守りもせず、退学にされた馬鹿な息子はもう用なしだとばかりに、ルトリアを家から追い出した。
その後ルトリアが二年間入院していたときも、一度だって見舞いに来なかった。
そもそも入院していたことさえ知らなかったんじゃないだろうか。
それだけでも腹立たしいというのに、ようやくルトリアが新しい人生を見つけ、立ち直って、自分の道を歩き出したところで、今頃連絡を寄越して。
あまつさえ、「マグノリア家の恥さらし」だって?
「アイドルなんてやめろ」だって?
自分からルトリアを捨てておきながら、何故今頃になって口を挟んでくるのだ。
ルトリアを捨てたあいつらに、そんなことをする権利はない。
もう放っておくつもりじゃなかったのか。ルトリアがどうなったって知らないと思ったから、捨てたんじゃなかったのか。
親らしいことなんて何一つしてこなかった癖に、子供に指図するときだけは親の顔をするのか。
そんな卑怯な真似が許されてなるものか。


