Music of Frontier

「さっきから勝手なことばかり言ってくれますけどね。こっちも迷惑してるんですよ!事務所にまで連絡してこないでくれます!?」

『!?』

いきなり俺に言い返されたことで、母が動揺しているのが分かった。

俺は更に、畳み掛けるように続けた。

「マグノリア家の恥さらし?おかしなこと言わないでくれます?俺は!もうマグノリア家の人間じゃないので!分かります?他人なんですよ、た・に・ん!他人の俺が何処で何をしてようが、あなたには関係ないでしょ!」

俺からマグノリアの名前を奪ったのは、あんたらだろうが。

もう忘れたのか。ボケでも始まってるのか?

「良いですか。俺は何を言われてもやめる気はないので!そっちこそ、今更連絡してきて、余計な口出しするのやめてくれません!?」

『なっ…!あ、あなた、マグノリア家の家名に泥を…』

「マグノリア家の家名!?泥団子投げてやりましょうか、そんなもん!マグノリアの体面がどんなに悪くなろうと、俺の知ったことじゃないんですよ!大体あなた、自分が絶縁して家を追い出した息子の生活に口を出すなんて、恥ずかしくないんですか!?」

『!私はマグノリア家の名誉を守ろうとしてるだけよ!そんな低俗な仕事なんてして…!』

「マグノリア家の名誉なんて、糞食らえなんですよ!あなたに何が分かるって言うんだ!良いですか?今度事務所に手紙やら電話やら寄越したら、警察に通報しますから!警察ですよ!マグノリア家にもたっぷり恥をかいてもらうので!そのつもりで!」

『あ、あなた…!親に向かってなんて口の利き方を…!』

実家にいた頃、俺は両親に口答えなんてしたことは一度もなかった。

そういう風に育てられていたから、当然だ。

でも、今は違う。

良いか。何度も言うが。俺はマグノリア家の人間ではないのだ。

だから、もうこの人に従う義理はない。

言い返したかったら、好きなだけ口汚く言い返す。

我慢なんてするものか。

「親じゃありませんね!俺、あなたに捨てられましたから!自分から切り捨てておいて、親の面をするなんて、そっちこそ恥ってものを知ったらどうですか!?」

『…!』

息子ごときに散々罵倒され、怒髪天突いた母は、思いっきり俺を怒鳴り付けようとした。

電話越しだろうと、雰囲気でそれが分かった。

良いぞ、受けて立つ。

と、思ったのだが。

「ルトリア、ちょっと借りるぞ」

「あ、ルクシー」

俺が冷静さを失っていると判断し、ルクシーが俺から受話器を取り上げた。