Music of Frontier

マグノリア家の両親から手紙をもらった、数週間後。




「今日こそ、皆でピザ食べて帰ろうぜ」

「おっ、良いね」

お仕事も無事に終わり、さて帰ろうとしたときに、エルーシアがそう誘ってきた。

良いねぇ、ピザ。

「良い考えだ。ルトリアにピザ食わせて、もう少し太らせないと…」

ルクシーが恐ろしいことを呟いている。

もうそんなに痩せてないもん。太ってるもん。

「ベーシュも行くよな?」

「うん」

「よし、じゃあ皆でピザ食べて帰ろう」

ぞろぞろ、と五人で帰ろうとした、そのとき。

「ルトリアさん、ちょっと待ってください」

「あれ?ユーリアナさん」

マネージャーのユーリアナさんが、後ろから駆けてきた。

「丁度良い。ユーリアナも行かないか?これから皆でピザ食べに行くところなんだが」

「あ…ごめんなさい、ミヤノさん。行きたいんですけど、まだ仕事が…」

「そうか…。それは仕方ないな」

ユーリアナさん、働き過ぎでは。

一緒にピザ食べる時間もありゃしない。

…で。

「…俺に、何か?」

「はい、ちょっと…ルトリアさんにお話が」

えっ。

「…俺、何か悪いことしました…?」

「あ、いえ…。悪いことしたから説教とか、そういう訳ではなくて…。ちょっと耳に入れておきたいことがあるので、少し残ってもらえたら…」

何だと?

何の話かと思うと、嫌な予感しかしなくて怖いが…。

「…分かりました。じゃあ、残ります」

「マジか。ルトリーヌ連れてけないの?」

「待ってようか?話が終わるまで…」

ミヤノはそう申し出たが。

「いえ…。長くなったら悪いですし。今日は皆さんで楽しんでください」

皆疲れてるし、お腹も空いてるだろうから、待たせるのは申し訳ない。

しかし。

「うぇ~?ルトリーヌがいないんなら、ピザ食べに行ってもつまんねぇ」

「仕方ない。ピザは後日にしよう」

「今度は、ユーリアナも時間が取れるときにな」

「…済みません」

皆ピザ楽しみにしてたのに。俺の為に後日になってしまった。

「えぇよ!楽しみはまた今度な」

「うん。私もいつでも構わないし」

…優しいなぁ。

本当、優しくて申し訳なくなる。

「…じゃ、先に帰っててください…ルクシー」

「…あぁ。また後でな」

ルクシーにそう言って、俺はユーリアナさんと共に、事務所に戻った。

もう…この時点で、嫌な予感がしていた。