Music of Frontier

三年生の長期休暇の日。

久々に会ったルクシーは、俺のことを酷く心配してくれているようだった。

「なぁ、大丈夫か?ルトリア…」

「…えぇ、大丈夫ですよ」

ついさっきまでは、全然大丈夫ではなかった。

ルクシーの顔を見て、初めて自分は大丈夫だと思えたのだ。

エミスキーやラトベルはあっさりと俺を見捨てたけれど。

年に二、三回しか会えないルクシーは、相変わらず俺の親友で、俺を心配してくれる。

この差は何なんだろうな。

「…先輩達は、相変わらず?」

「えぇ…。相変わらず、です」

むしろ前より酷くなってるくらいだ。

俺の予想通り、その頃には少しずつ暴力が始まっていた。

この調子でエスカレートしていったら、来年には俺、骨でも折られてるんじゃないかな?

あながち冗談じゃないかもよ。本当に有り得ることだ。

「誰にも言ってないのか?教官…は役に立たないかもしれないけど、両親とか…お姉さんとか…」

確かに、教官は役に立たないね。

で、両親と姉についても。

「両親は教官と大して変わりませんよ。俺の成績しか見てないですし…」

目に見えて下がってしまった成績表を見て、喚き散らすだけだ。

俺の話なんて聞いてくれるはずがないし、あの人達にしてみれば、俺が学校でどんな目に遭っていようが、どうだって良いのだ。

俺の学校生活がどんなものなのかなんて、目に見えないからな。

目に見えるのは、酷く下がってしまった成績表だけ。

だから成績表を前に、俺を責め立てるだけなのだ。

そりゃそうでしょう。

「…あんまり、姉さんには相談したくないんですよね…」

「…そうか?」

「えぇ…」

姉が、俺に期待してくれていることを知っているから…余計に。

いじめられてて辛いよう、なんて情けないこと…姉には言いたくない。

…意地っ張りだな、俺は。

「それに…姉に話したからって、どうなる訳でも…」

「それは分からないだろ。お姉さんの方から、学校に話しかけてくれるかもしれないし…」

「あー…」

そうしてくれると…有り難くはあるけど。

どうかな。それはそれで卑怯なような気が…。

「良いか、ルトリア。お前が話さないなら俺から話す」

「…ルクシー…」

「もうこれ以上…お前が苦しんでるの、見ていられないよ…」

「…」

…どうもありがとう、ルクシー。

あなただけだ。そんなことを言ってくれるのは。

ルクシーがいてくれて良かった。本当に良かった。

たった一人でも味方がいてくれると思うだけで、どれだけ心の支えになるか。

ルクシーがいなかったら、俺は今頃とっくに潰れてしまっていただろう。