Music of Frontier

しかし、インタビューって何されるんだろうなと。

ちょっとドキドキしながら、俺達はお仕事に向かった。

俺はてっきり、五人全員でインタビューを受けると思っていたのだが。

「それでは、一人ずつ、別室でインタビューさせて頂きますので、ルトリアさんからお願いします」

雑誌記者さんは、笑顔でそう言った。

えっ。一人ずつなの?

しかも、何で俺から?

「頑張れルトリア。行ってこい」

「な、何だか怖いですね…」

ここで、皆の前でやってくれても良かったんだが?

しかも、用意された別室。

狭くて、中央にテーブルを挟んで、椅子が二つ向かい合っているだけの部屋だった。

何これ。尋問室?

「いい加減吐け!本当のことを言え!」とか言われないよね?

しかも。

「あ、インタビューは録音させてもらいますね」

記者さんは、笑顔でボイスレコーダーをテーブルに置いた。

ますます尋問感。

俺、何も悪いことしてませんよ~…。

恐る恐る席につき、取り調べを受ける容疑者の気分で、質問を待つ。

「えーと。それじゃ始めますね。今回は『frontier』メンバーの、知られざる一面について特集したいと思ってますので…」

「はぁ…。知られざる…どんなことを知りたいんですか?」

「そうですね…じゃあまず、ルトリアさんが音楽活動を始めたきっかけを教えてもらえますか?」

「…」

…音楽活動を始めたきっかけ…か。

とあるバンドに憧れて…とか。それっぽいことを言った方が良いのかもしれないが…。

ここは、正直に答えておく。

「俺の場合、ルクシーに誘われたんですよ。自分が所属してるバンドに来ないかって」

「そうだったんですか」

「えぇ。だから最初はド素人で…楽譜の読み方も分からなかったくらいで」

あのド素人が、今や雑誌のインタビュー受けるようになったんだからなぁ。

不思議な人生だ。

「そのときからボーカルだったんですよね?」

「あ、いえ…最初は俺ボーカルじゃなくて、ギターだったんですよ…。今のベーシュさんのポジションで」

「えっ。じゃあボーカルは誰だったんですか?」

「いなかったんです。メンバー足りてなくて。ボーカルなしバンドだったんですが、そこからベーシュさんが加入して、ベーシュさんの方がギター上手かったんで、じゃあルトリアはボーカルやってくれない?みたいなノリで」

割と軽く…ボーカルになっちゃったよね。