Music of Frontier

「ルトリアさん、今日は予定通り、月刊雑誌のインタビューと撮影です。大丈夫ですか?」

「えぇ、大丈夫ですよ」

最近の俺達は、音楽活動やyourtuberとしての活動に加え。

雑誌にも出してもらえるようになった。

今日なんて、音楽雑誌の特集記事として『frontier』が取り上げられるということで。

メンバー一人一人に、インタビューと写真撮影のお仕事が来た。

俺に何を聞きたいのかは分からないが…。

…一応、面白いこと言っとくべきなのかな?つまんなかったら記事にしてもらえないよね。

「…ルトリアさん、大丈夫ですか?」

「へ?何が?」

『frontier』の頼れるマネージャーであるユーリアナさんは、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「今日は何か食べましたか?良かったら、何か買ってきましょうか」

「え?大丈夫です大丈夫です。食べてきましたから、ちゃんと」

「そうですか…」

摂食障害と診断されてからというもの。

ユーリアナさんの申し訳なさそうな顔と言ったら、俺の方がむしろ申し訳なくなるくらいだった。

俺がこうなったのは、自分がキャパを越えて仕事を詰め込んでしまったせいだ思い込み、ユーリアナさんは酷く責任を感じていたようで。

ごめんなさいごめんなさいと、彼女のせいでもないのに必死に謝ってきた。

いや、ユーリアナさんはなんっにも悪くないから。謝る必要これっぽっちもないから。

俺はそう言ったのだが、ユーリアナさんは責任を感じ、これからはもっとスケジュール管理をちゃんとして、そしてメンバー一人一人の体調にも充分注意を払う、と約束してくれた。

ユーリアナさんは悪くないと言うのに。

それに、俺はあれ以来、少しずつではあるが食べられるようにもなってきた。

ルクシーのお陰である。ルクシーが、朝から晩まできっちりと食事管理をしてくれるお陰で、俺はあれからというもの、食事を抜くことを許されなくなった。

「今日は疲れたから、晩ご飯抜くかー」なんて絶対無理。

ちゃんと食べるまで、ルクシーがじっと睨むように見ているのだから。食べない訳にはいかない。

しかも、夜中であろうとも抜き打ちで「お前、吐いたりしてないだろうな?」とルクシーチェックが入るので、吐くことも出来ない。

もう吐かないから。そんなチェックしなくても大丈夫、なんて言っても全然聞いてくれない。

通院も相変わらず続けているし、服薬も続けている。

エインリー先生は、「大丈夫、良くなってるよ~」と言ってくれている。

もうしばらくは注意しなければならないが、順調に治っているとのことで、俺も安心である。

ルクシーは全然安心してくれてないけど。

それと、ユーリアナさんも。

「無理しないでくださいね。限界だと思ったら言ってください」

「はいはい。大丈夫です。大丈夫ですから…」

「本当ですか?私、ルトリアさんに何かあったら…」

「何にもないですから。大丈夫です」

涙目で心配するユーリアナさん。全く大袈裟な。

それだけ心配させているということなんだろう。申し訳ない。