Music of Frontier

…でも、気になるのは。

スイッチが入ってしまった原因は分かる。でも、どうしてそれが拒食症に繋がるんだ?

元々、抑鬱的なときは全然食べなくなってしまう奴ではあったが…。

ミヤノの言うように、ネガティブになってしまったことで自分の容姿に対するコンプレックスが加速したのか?

だから痩せようと?考えられなくはないが…。

「ともかく、あいつ痩せ過ぎだからさ。食べさせようぜ。焼き肉とか連れていこう」

「連れていっても意味ないでしょ。私達の前では食べるんだから。問題は食べないことより、私達の見てないところで吐いちゃうことだよ」

「むっ…確かに…。でもどうしたら良いんだ、それ」

…そうだよな。

俺達の前だと、そこそこ食べるんだよ。

多分、俺達の前で食べなかったら、俺が文句言うからだろうが。

「そもそも、本人に拒食症の自覚はあるのか?」

「それも問題だよな」

「多分ないよ。痩せてる自覚があったら痩せようとなんてしないでしょ」

「…だな。そもそも拒食症だと診断が下りてる訳じゃない。俺達が勝手に言ってるだけだから…。まずは、病院に連れていくべきなんじゃないか?」

…それは、俺も思った。

またエインリー先生のお世話になるべきかもしれないと。

「…でも、間違いなく本人は拒否すると思うぞ」

もう戻ってきちゃ駄目だよ~、と言われて送り出されたのに。

ごめんなさい今度は拒食症です、と出戻りだからな。

そんなのルトリアだって嫌に決まってるだろ。エインリー先生も嫌だろうけど。

俺だって嫌だよ。

でも、ミヤノの言う通り…診断が下りないことには、本人も認めないぞ。

「…無理矢理連れてくのもなー…」

「そもそもルトリアは何で食べなくなっちゃったの?まずはその原因を探るべきじゃない?」

「…そうだな。もし何か悩みがあるのなら…それを先に解決すべきだ」

悩み…か。

悩みを…あんまり口にしてくれるタイプじゃないからな。あいつは。

無意識に溜め込むタイプだから。タチが悪いのなんの。

「皆で聞きたいところだけど…全員で詰め寄っても威圧するだけだろうし、ここは…ルクシー、任せて良いか?」

「あぁ…勿論だ」

こうなったら、何としてでも聞き出してやる。

大体、俺は約束したんだからな。

あの約束は、単なる脅しじゃないんだってことを教えてやる。