Music of Frontier

ミヤノも、エルーシアも、ベーシュさんも、俺に何があったのかは聞かなかった。

何で俺がああなってしまったのか、皆気にしているだろうに。

それとも…ルクシーが上手く誤魔化してくれたのだろうか?

とにかく、あれこれと詮索されないのは有り難かった。

聞かれても…答えられるようなことじゃないから。

皆が帰った後、俺は一人で、ベーシュさん特製のジュースを飲んだ。

とてもじゃないが一気には飲めないので、ちびちびと、舐めるように飲んだ。

泣きそうなくらい酸っぱくて、成程、嫌なことを考えずに済んだ。

なかなかの荒療治だが、効果はてきめんのようだ。

…もう、余計なことを考えるのはよそう。

今更どう足掻いたって、俺は帝国騎士になることは出来ないのだから。

帝国騎士になれないぶん…俺は、誰にも恥じないようなアーティストになろう。

そうでもしなきゃ、一生下らない人間で終わってしまう。

それだけは耐えられなかった。