Music of Frontier

写真集発売前の、ネコ動『frontier』ラジオ、『Midnight Frontier』の時間。

その週は、俺とエルーシアが担当だった。

写真集の発売はいよいよ来週。ラジオの中でも写真集の宣伝をしてくださいね、とユーリアナさんに頼まれた…ものの。

個人的には、激しく気が進まなかった。

この話題避けたいなぁと思っていたが、カンペで「写真集のことを!」と急かされ。

仕方なく、話題は写真集に移った。

「えー、ここで宣伝です…。いよいよ来週、『frontier』初の写真集が発売します。皆さん、ご予約はお早めに…」

「…おい、ルトリーヌ。テンション低いぞテンション。上げてけ」

上げてけって言われても。エルーシア。

俺だって上げたいんだけど、写真集の話となるとどうにも。

「だって…恥ずかしいじゃないですか。写真集ですよ?俺の写真が世間の皆様の目に入るんですよ?」

「名誉なことじゃねぇか」

「そりゃ大変名誉ですよ。嬉しいことでもありますよ。でも俺が言いたいのはそういうことじゃないんです」

「…じゃあどういうことだよ?」

写真集を出すこと。これは納得した。

エルーシアの言う通り、名誉なことだとも思う。

その写真集に俺が写ることも…まぁ、納得する。

写りたくはないが、仕方ない。一応俺も『frontier』のメンバーなのだから、俺だけ写真集から除外されるのも変だ。

だから、そこまでは納得する。

しかし。

俺が納得出来ないことは二つ。

ゴスロリ服を着せられて写真を撮られたことと、もう一つ。

「…何で写真集の表紙が!俺なんですか!」

そう。先日見せられた見本本。

その表紙には、俺が度アップで写っていた。

で、後ろの方に他の四人がちょこんと入ってた。

おかしい。この構図はいくらなんでもおかしい。

何故俺が『frontier』代表みたいなポジションなのか。

「何でって…。一番人気だからじゃね?ボーカルだし」

「関係ないですよ!そこはミヤノを出しましょうよ!俺がセンターとか、何ですかそれ。売れなくても良いんですかね?」

この表紙はおかしい!と抗議したのに、時は既に遅く。

もうこれで大量に印刷してると言うのだから、今更どうすることも出来ない。

「そんな訳ですので皆さん…。写真集は表紙に写ってる幽霊みたいなルトリアが目印です。表紙はだいぶアレですが、中身は大変素晴らしいものになってるので、是非手に取ってみてください」

「発売日当日は帝都◯◯書店で握手会も開かれるんで、参加される人は気を付けて来てな!」

あぁ、そういや握手会とか、そんなのあったね。

思い出したくなかったもんだから、忘れてたよ。

泣きたい。