Music of Frontier

「あ、握手会って…正気ですか、ユーリアナさん」

「すこぶる正気です」

だよね。

じゃ、正気じゃないのは俺だな。

「握手会って…人、来るんですかね…?」

俺達と握手したい人、いるのかな。

あっ、でもベーシュさんはいるよね。多分握手したい人たくさんいるよ。

「大丈夫、きっとたくさん来ますよ」

で、あなたのその楽観主義の根幹は何処にあるの?

「握手会ねぇ…。それは良いけど、来てくれた人は全員と握手出来るの?それとも一人だけ?」

「原則、一人だけです」

…ん?

今、とんでもなく恐ろしいこと言わなかった?

一人だけ?

「…あれですか。お客さん皆、五人の中で一人だけ握手したいメンバーを選んで、そのメンバーの列に並ぶ方式ですか」

よくある奴だよね。アイドルとかの握手会で。

「そうなりますね」

「…」

俺は俯いて、両手で顔を覆った。

…死亡フラグが美しく立ちました。おめでとうございます。

「…どうした、ルトリア」

「…俺、その日お休みします。熱です。7000度の熱が出ます」

「落ち着け。お前、それじゃ太陽より熱いぞ」

そりゃそんな熱も出たくなるよ。